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「お風呂、一人ずつ入る?」
露天風呂に入ってる北斗を部屋から眺めるのもきっと最高だよなあ、なんて妄想をよぎらせながら聞く。
「……意地悪」
北斗がちょっと口を尖らせる。
あらら、意地悪で言ったつもりじゃなかったんだけどな。
北斗は一緒に入りたいのか。
よし、言わせちゃお。
「どうする?北斗先に入る?」
わざとちょっと意地悪な顔をして言う。
北斗が俺のこの表情に弱いのを知っているから。
すると北斗が俺から目線をそらし、俺の服の裾をきゅっと掴む。
「一緒がいい……」
あーもうかわいすぎる!
なにこれ!なんなの!
だらしなくデレデレになりそうな顔を必死にこらえ、努めてさらっと言う。
「ん。じゃ一緒に入ろ。脱がせてあげよっか?」
ほら、ばんさーい、と上の服を脱がせると、くすくすと嬉しそうに北斗が笑う。
かわいいなほんとに。
そのあとはパパッと各自で服を取り払い、浴室へ。
ちょうど露天風呂が一番いい景色の時間かもしれない。
夕日で全てがオレンジ色に染められている。
隣で湯につかっている北斗までも。
外を見ながらキレーイ、と呟く北斗が一番綺麗。
しばし、幻想的な絵面に酔いしれる。
「……慎太郎、こっち見すぎ」
恥ずかしそうに北斗が言う。
「ああ、ごめんごめん。あまりに綺麗でさ」
「ふふっ。慎太郎も夕日が当たって綺麗だよ」
「バカップルみたいだな、綺麗って言い合って」
お互い笑い合う。
「……幸せだなあ」
心からの声が漏れる。
今、こうしていられることが本当に幸せ。
お風呂からあがりしばらくすると、豪華な夕飯が運ばれてきた。
談笑しつつおいしい食事を楽しむ。
時折、浴衣姿の北斗に見とれながら。
愛しい俺の恋人は、何気ない所作にさえ色気をまとう。
さて、今回の旅行のメインイベントはこのあとだ。
お膳が下げられ、北斗がトイレへ行っている隙に荷物からあるものを取り出し急いで準備をすませる。
「北斗、こっち座って目閉じて?」
「ふふ、なあに?」
「いいから」
「はーい、閉じたよ」
にこにこ楽しそうに言う通りにしてくれた北斗が、ピシッと固まる。
「えっ……」
「目、開けていいよ」
ゆっくりと目を開けた北斗は、右手を見つめたまま微動だにしない。
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作者名:りんご | 作成日時:2022年2月21日 9時