6色パレット。【東海オンエア】 (ページ45)

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俺色に染まりやがれ。【緑】ページ45

一応、YouTuberなんてものをやってて
我ながら人気も出てきた方だと思う。

俺には片思いをしている人がいるんだけど、
名前も歳も知らない人。
俺が決して手を出さないはずの女。

ーファンだ。

リリイベの時に現れたその子は、
どこか他のファンとは違っていて。
謎めいたような、人を魅了する何かを
きっと持っているんだと、
あの数十秒で確信したのは確かだった。

り「としみつ～。なんか悩んでる？」

と「え？」

り「顔が怖いもん」

と「まあ一応悩みくらいある」

り「としみつもとうとう童貞卒業か～」

と「童貞じゃねーし！」

り「ま、頑張りたまえ」

と「うざお前！」

いっそのことこのイタリア人に
ドカンと相談してしまおうか、なんて
何回も考えたんだけど。

なんとなくそんな勇気は俺になくて。

どうやったらあの子に会えるかとか、
どうやったらあの子の事知れるかとか。

考えてももちろん答えなんて見つからないし
むしろ、このまま二度と会えないかも。
そう思ってくるといろいろ落ち込む。

て「としくーん？今日君寝坊してきたよね～？」

と「はぁ？なんだよ」

て「お腹すいたなぁ～俺たち」

と「得意のすき家でも食っとけ」

て「コンビニのチキン食べたいなぁ～」

と「はぁ…分かったよ」

確かに寝坊した俺は
こんな風におつかいを頼まれても断れず
てつやの家からすぐ近くのコンビニへ。

そこで、奇跡は起きたんだ。

「いらっしゃいませー」

と「このチキン6個くださ、…」

え、嘘だろ。

「お客様？」

この子だ。俺が探していたのは。

「え、！？あ…あの、もしかして…」

と「しーっ、、」

「あっ、すいません…」

と「明日います？」

「は、はい…」

と「明日また来ます、」

そう言って商品を受け取り、
コンビニを出た俺の心臓はとてつもなく
史上最強に跳ね上がっている。

そりゃそうだ。
探してた子が見つかったんだから。

小声で交わした会話ですら
喜びを感じているのは、
きっとあの子に対して何か
違う感情を抱いているからだ。

てつやの家に帰宅し、
各々で作業をしている中
唯一暇そうだったりょうを呼び寄せる。

こうなったら
何でもできそうなイタリア人の手を借りよう。