むかしむかしあるところに。�◆收帖� ページ43
駅に着いて、少し探すと
俺が探していた物語のヒロインがいた。
あの頃とは違う、大人になっていて。
でもどこか、面影は残っている。
そして、
り「A、久しぶり」
「りょう…久しぶり」
何年ぶりに聞いた声も、
変わっていなかったんだ。
「実はさ、」
り「ん？」
「同窓会、あんまり行く気なかったんだ」
り「そうなの？」
「りょうに会えるかなって思って、」
り「は、…まじか」
「あ、違う！ごめん！えっと…」
り「じゃーこのままちょっと歩こ？」
なーんだ。Aも俺と同じだったんだ。
なんて一気に緊張が解れた気がした。
「懐かしいな〜この道」
り「ねえ、」
「ん？」
り「俺も、会えるかなって思ってた」
「え、？」
り「同窓会参加すれば、Aに会えるんじゃないかなって。Aも参加するんじゃないかって。だから俺も参加したんだよ？」
「そ、そうなんだ…」
り「最後にAと話した日、本当はさ。すっげーワガママ言おうとしてたんだ俺」
「ワガママ…？」
そう。あの日、
東京へ引っ越すと伝えられたあの日だ。
あの日、俺はAに言いたかったんだ。
り「…行かんで、」
「っ、」
り「ね？最強にワガママじゃんこれ。だからずっと言えずにいてさ」
「…」
り「もし、Aに大切な誰かが今いないなら…俺と一緒にいてほしい」
「っ…」
り「あの時と同じように言おっか？」
「あの時、って…」
り「ぼくとけっこんするんだから！」
「…」
り「Aが、好きです」
綺麗な笑顔で、
綺麗な涙を流すA。
そんなAを抱き寄せて、
俺は初恋を実らせた。
むかしむかし、あるところに
小さいながらに恋をしていた男の子と
女の子がおりました。
男の子は女の子に、
好きだと伝えるのに大層な時間が必要でした。
女の子は男の子に、
好きだと伝えられずに離れてしまいました。
そんな2人は大人になり、
長い年月をかけてもう一度出会いました。
2人の想いは通じ合い、
2人は約束通り、仲睦まじく
永遠の愛を誓いました。
これは、
そんな愛の物語。
俺の愛に溺れて、、欲しかった。【橙】→←むかしむかし、あるところに。【青】
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作者名：ふくちょー。 | 作成日時：2019年6月18日 1時
