イロイロ短編集♪２

ぬらりひょんの孫　綺麗な人３　 ページ16

この匂い・・・

これは・・・


「なぁ、A」

「・・・はい」


あぁ・・・鴆様・・

お気づきになられたのですか？


「お前が他のシマのスパイだっていうのは・・・本当か？」


ピタリとあたしの背中に鋭いものが当てられた

見なくたって分かる

刀だ

あたしは薬を炒るのをやめた

・・・体が反応しない

まさかこんなに効き目が速いとは・・・

気づくのが遅かったのは不覚


「A・・答えろ」

「・・・鴆様が望んでいる答えは何ですか？」

「！・・俺が・・・望んでいる答え？」

「はい」


麻痺している体を無理やり反転させる

鴆様と正面から向き合っている


「貴方様が・・・望んでいる答えは？」

「俺が・・・望むのは・・・・」


「スパイじゃないと・・・いう答えだ」


あぁ・・

やっぱり綺麗です

貴方様の涙は

あたしなんかのために涙を流してくださるのですね


いつからか、あたしは貴方を殺すという命令に背きたくなった

何も知らずに笑っている彼が愛しく感じ始めた

それがあまりにも綺麗で

すべてを知ったときの絶望の顔を考えると笑みが広がって

やっぱり綺麗だと思った

なのに・・・


今の貴方は涙を流している

綺麗ですよ

でも、あたしが見たいのは・・・絶望の貴方の顔

だから・・・


「大丈夫ですよ、御安心ください。あたしはスパイなんかじゃありません」


微笑むと、鴆様は本当だな。と念を押した

はい、と答えると安心したように笑った


「あたしは、スパイじゃ、ありません」


ニッコリと笑い返した

ぬらりひょんの孫　綺麗な人４　→←ぬらりひょんの孫　綺麗な人２　

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す