イロイロ短編集♪7（リク消化最優先！）

ワールドトリガー　ヒュース ページ10

「じい様、次、お相手していただいてよろしいでしょうか」


一息ついたところで、指導に当たっていたヴィザ翁に声をかけたのは、少し緊張した面持ちの少女だった

腰を下ろして息を整えていたヒュースを見て、にぱっ、と花が咲いたように笑う

その笑顔を受けて、小さく手を振った


「おや、Aではないですか」


可愛がっている孫娘の登場に、少しばかり驚いた顔をしたが、すぐにいつも通りの微笑みを浮かべた


「構いませんか?」

「はい、もちろん」


やった、と小さな声を漏らし、ヴィザとAが向かい合う

掛け声もなく、２人の戦闘は始まった


対になっている夫婦刀を回しながら、Aは笑う

楽しくて、嬉しくて、面白くて仕方がないと

いつだったか、ヴィザが零していた言葉を思い出す


『あの子は、戦うことが好きでね。きっとこれからの国を背負う兵士になるでしょう』


目の前で繰り広げられる戦いを、笑うAを見ながら、ヒュースも頬を緩める

ヴィザはAをよく見ている

よく見ているが、気付かない


確かに、Aは戦闘狂と呼ばれるほど、戦うことを望んでいる

A自身も、戦うことは好きだと言っていた


けれど


彼女は戦い事態を好んでいるのではない



過去の話


『ヒュース、今日もじい様と稽古ですか?』


ずるいですね、と笑いながらAが駆け寄ってきた


『Aはいつでも相手をしていただけるだろう』

『じい様はお忙しい方ですから』

『…じゃあ、他の方に相手をしてもらえばいい』


せっかくの稽古の時間を渡したくなくて、ついきつい言い方になる

ヴィザ翁に関してはお互いにムキになることを知っているので、喧嘩に発展するようなことはなくなった

出会って初めの頃は、言い合いがヒートアップしていってヴィザ翁に仲良く説教を食らったこともあるが


『嫌です。じい様がいいのです』


少しムッとした表情で言ってくるから、おや、と思って理由を尋ねた


『だって私―――』


Aの答えが信じられなかった


それから注意深くAの稽古の様子を見続けた


そして、理解した

彼女のあの答えは、彼女の本心だ


誰にも気づかれることのないように彼女が隠している、彼女の本性

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