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僕のヒーローアカデミア ステイン2 ページ47

[―――ここで緊急ニュースです。●●通りの路地裏で、●●事務所のヒーロー2名の遺体が発見されました。遺体の損傷は酷く、死亡推定時刻も死因も、現在不明のままです。警察は怨恨と敵の襲撃の両面から捜査を進め―――]


アナウンサーが淡々と事件を読み上げる

怨恨? 敵? 大外れだ

いつものように潜んで、目的の場所を目指す


いや



帰る



「おかえりなさい」


まだぎこちないが、前よりは自然に笑えるようになっている

動かない両脚と、潰れた片目と、失くした耳

指先もまだうまく動かせないようだ


「ああ、帰った」


それでも、幸せだとこいつは言う



助けたのは、本当についでだった

いつものように偽物を排除し、その先で見つけた

手のひらにたどたどしく文字を綴り、ありがとうとそれは言った

それはどうやら偽物のヒーローに助けを求め、助けてもらえなかったらしい

やはり偽物が蔓延ってしまっている


正さねば



その後の言葉を、一生忘れない



“あなたは ヒーロー”



頭を殴られたような衝撃を受けた

それからの行動は、よく覚えていない


気付けば、それは傍にいた


“あなたは ヒーロー だから あなたの めざす世界のための お手伝いをしたい”


命をくれたのだと、それは言った

居場所を与えてくれたのだと、子供は言った

生きる意味を貰ったのだと、Aは言った


療養をさせ、リハビリを経て、Aと向き合った

痛覚だけではなく味覚まで馬鹿になっているとは思わなかった

取り戻せたのは声と表情だけで、あとは徐々に回復してくるのを待つしかない


同じことをさせるのは、なぜか気が引けた

動けないからできるはずもないが、何処かで安心していた

代わりにハッキングや計画立案を任せた


「このルートが、一番いい」


Aは頭が良かった

気付けば情報面では敵わなくなり、作戦も指示も完璧だった


「すごいな」


素直に言葉に出せば、こちらを向いて固まって

それから、顔を真っ赤にして、小さな声で嬉しいと言って、泣いていた


たまにAを連れていくことがあった

華奢な身体を抱き上げて、夜の街を飛び回る

すごいすごい、とAは無邪気にはしゃぐ


誰かが血に染まらなければならない


道連れにするつもりはない


だが


「ステインは、Aにとっての、ヒーロー」


そう言ってくれるAを、俺はきっと手放せないだろう






どうか 手放さないで



Aの ヒーロー

あとがき→←僕のヒーローアカデミア ステイン



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雪音(プロフ) - リクエストで文ストの中也と恋愛物 お願いします (2017年7月29日 22時) (レス) id: 0f1d2340a4 (このIDを非表示/違反報告)
音桜(隠居中)(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» リクエストありがとうございます。少々お待ちください。 (2017年7月3日 23時) (レス) id: 7e9f38db8e (このIDを非表示/違反報告)
音桜(隠居中)(プロフ) - グラシデアさん» かしこまりました。消化全然できてませんが、細々と更新してるので、少しお待ちいただけると嬉しいです。 (2017年7月3日 23時) (レス) id: 7e9f38db8e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ナルトのリクで夢主が再不斬の部下お願いします (2017年7月2日 18時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
グラシデア(プロフ) - はい!人間だった頃のせんせーの話でお願いします! (2017年7月1日 11時) (レス) id: a4804d91b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:音桜 | 作成日時:2016年2月18日 13時

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