黒子のバスケ 花宮真(悪童(♀)さんリク・切ない系) ページ24
「あのねまこちゃん」
少年の後ろを、少女が小走りでついていく
「心配だから、やっぱり」
少女の声に反応を示さず、少年はただ足を進める
歩幅も速度も、彼女に合わせようとはしない
それでも一生懸命ついていく少女は、まるで主人に懐く小動物のようで
「バスケ部のマネージャー、やろうかなぁって」
その言葉を聞いた瞬間、少年はピタリと立ち止まった
少女はつられて足を止め、少年を待つ
「あのさ」
ゆっくりと振り向く少年は、呆れたような顔をしていた
少女の背景は美しい夕焼け空
光が反射して、少年は少女の表情をまともに見ることはできなかった
「お前がいても邪魔なだけ。心配とか、必要ない。いい加減うぜぇんだけど」
その時、少女がどんな表情をしたのか、少年にはわからなかった
ただ顔色を変えたのは確かで、けれど特に気にせずに少年は歩き始めた
「そうだね、まこちゃんがそう言うなら」
先ほどと同じ調子で、少女は少年のあとをついていく
*
「花宮、今日機嫌悪くねぇ?」
誰かが言った
そういえば、確かに
その場にいた全員が感じていたこと
「何かあったのか?」
「さあ」
レギュラーメンバーの数メートル先を一人で歩く、彼らの話題の中心人物は、携帯画面をにらみつけている
ウィンターカップが終わって、数週間
進級を控えた中でも、相変わらず部活動は活発に行われている
「誰か聞いて来いよ」
「じゃあザキ、行ってきて」
「なんでだよ!」
「骨は拾ってやるから」
「いやいや、死ぬの前提かよ」
馬鹿騒ぎをするチームメイトの声は、右から左へと流れていく
[まこちゃん、試合残念だったね]
絵文字も顔文字もない、女子高校生にしては質素なメール
それでも伝えたいことは、しっかりと伝わったようで
『あのねまこちゃん、バスケ、ちゃんとしようよ。まこちゃん強いのに…』
『うっせぇよ』
『でも』
『嫌なら見に来なきゃいいだろう。お前がいようがいまいが、関係ねぇんだから』
『…そうだね。まこちゃんが、そういうなら』
あの時、Aはあきらめたのだろう
だから試合を見に来ない
話しかけることはなくなった
本音じゃなかった、と後悔を口にしてももう遅い
あれだけ大きく出て、そして負けた
彼女は笑っているのだろうか
どうせ格好悪いのは今更だ
そんなこと気にはしない
だから
白い息を一つ吐いて、花宮は返信を打ち始めた
[マネージャー募集]
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雪音(プロフ) - リクエストで文ストの中也と恋愛物 お願いします (2017年7月29日 22時) (レス) id: 0f1d2340a4 (このIDを非表示/違反報告)
音桜(隠居中)(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» リクエストありがとうございます。少々お待ちください。 (2017年7月3日 23時) (レス) id: 7e9f38db8e (このIDを非表示/違反報告)
音桜(隠居中)(プロフ) - グラシデアさん» かしこまりました。消化全然できてませんが、細々と更新してるので、少しお待ちいただけると嬉しいです。 (2017年7月3日 23時) (レス) id: 7e9f38db8e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ナルトのリクで夢主が再不斬の部下お願いします (2017年7月2日 18時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
グラシデア(プロフ) - はい!人間だった頃のせんせーの話でお願いします! (2017年7月1日 11時) (レス) id: a4804d91b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音桜 | 作成日時:2016年2月18日 13時