イロイロ短編集♪6（リク消化最優先！） (ページ19)

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ワールドトリガー　三輪秀次　オマケページ19

「迅さん迅さん」

無邪気な笑顔でこちらにすり寄ってくる彼女は、秀次の恋人の美月Aちゃん

この前の任務で一緒だったのだが、なんでも、俺の攻撃に圧倒されたらしい

尊敬します! と純粋な尊敬のまなざしを向けられれば、悪い気なんてするわけない

その日から緑川のように、姿を見つければ子犬のように駆け寄ってくる

しかし、当然のことながら恋人の秀次が、今日も今日とてこちらを睨みつけている

そんなに大事なら、そんなに好きなら…と思いながらも、目の前にいるこの子はなぜ気付かないんだと内心苦笑する

周りの無関係な人間でさえ、秀次の威圧感やらなんやらがすごくて居心地悪そうにしているのに

あれはある意味サイドエフェクトだと冗談を交えて言えば、事のあらましを知っている人間はみんな口を揃えて「ただしお前(迅)限定の」と真顔で答えるから、思わず背筋に悪寒が走ったのは気のせいだと信じたい

「なあ美月ちゃん」

「はい?」

「秀次と付き合ってるんだよな」

「はい。三輪くんは私の彼氏ですよ」

どうかしましたか、と笑う彼女に、さっさと失せろと視線が訴える彼氏

そろそろだな、と見切りをつけて美月ちゃんに小さく話しかける

こちとら胃が削られそうなのだ

これくらいはやり返さないと

肩に手を置いて、耳に口を寄せてやれば、秀次の目が見開かれた

あれは視線で人を殺せるな、とどこか他人事に思っておく

「あんまり嫉妬させちゃだめだよ」

まあ、無自覚なんだろうけど、と言葉にしないが続けた

近づけた顔を話して美月ちゃんの顔をうかがえば、驚いたことに楽しそうに笑っていた

続けれられた言葉に、今度こそ俺は言葉を失った

「三輪くんの嫉妬、可愛いでしょう?」

高校生とは思えないほど、妖しい色をともした瞳が、挑戦的に俺を見上げた

「…なるほど、ね」

「あまり好きだって言ってくれないから、ちょっとした仕返しなんです」

うふふ、と唇に人差指を当てて秘密だと笑う

「私よりネイバーの方を優先してるみたいなので、これくらいはいいかと思って」

あ、でも最初は本当に無自覚でした。と付け足す彼女だが、本当かどうかわからない

「でも、あいつ、ちゃんと美月ちゃんのこと好きだよ」

「知ってます」

「俺のこと殺しそうな勢いで見てるし」

「え、それは知りませんでした」

ぎょっとする美月ちゃんに、ついに苦笑が漏れた

そろそろ行きます、と美月ちゃんが秀次に手を振って走り去って行った