もう一度、君と。２【shori.s】

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「どっちがいい？」

そう言って目の前に差し出されたのは

クッキーとせんべい

「じゃあこっ...」

私の手がクッキーに伸びた瞬間

勝利くんの眉毛が少し下がった

わかりやすすぎて思わず笑いそうになる

「これがいい！」

せんべいを私が指さすと

「どうぞ」

クッキーをとれて嬉しそうな表情で

私にせんべいを渡してくる

「ありがとう」

今ベンチに座ってお菓子を食べているのは

紛れもなく私と勝利くんで

入学したての頃じゃ考えられないようなことだった

隣をみれば勝利くんが座っていて

目が合うと懐かしい笑顔で笑うんだ

「そういえば後藤さんのクラスはなにやるの？」

お菓子を食べ終えた勝利くんが聞いてきた

「男女逆転メイド喫茶だよ」

「じゃあ後藤さん、タキシードとか着るの？」

少し驚いた表情をみせる勝利くん

「え？ああ、うん、まあ...」

「後藤さんのタキシードみたいかも、行くね？」

ちょっといたずらな笑顔を向けて

そんなことを言う勝利くんに胸がうるさい

ずるい、ズルすぎる。

こんなの言われたら勘違いしちゃうじゃん

勝利くんには彼女だっているのに

それをわかっているのに

胸がときめいてしまう私はきっともっとズルい

「わたしもっ、行くね！勝利くんのとこ！」

それ以上返す言葉が見つからなくて

私はそう言った

「うん、まってるね」

''まってる''

勝利くんのたった一言が

カセットテープみたいに頭の中で何度も駆け巡って

私の頭も心も全部支配しちゃうんだ

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