もう一度、君と。２【shori.s】

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この人にお礼を言うのは不本意だけど

「ありがとうございました...」

そう告げる

「珍しく素直じゃん」

少しびっくりした様子

「話したくないなら無理に言う必要はないけどいつでも話聞くからさっ」

わたしの頭をぽんぽんとした


突然

ヒュルルルという音が聴こえて

歩く人たちの足が止まる

わあという歓声で掻き消されそうなその音は

すぐにバーンと大きい音に変わった

雲ひとつない綺麗な夜空に

大きな花火がひとつふたつとあがっていく

何度も繰り返し

形を変えながら色鮮やかにあがる花火

目を奪われる

「_____..ね」

隣の中島健人先輩かなにかを言った

花火の音にかき消されて聞こえない声

「もっかい言ってください」

いつもより大きな声で聞き直す

中島健人先輩は顔を近づけてきて

「浴衣、すごく綺麗。」

とわたしの耳元でそう言った

近づけられた中島健人先輩の顔

改めて見るとやっぱりすごく綺麗な顔立ち

いきなりこんな距離でそんなことを言うから

顔が少し熱くなる感覚がした

中島健人先輩の後ろから

次々とあがっていく花火

すごくすごく綺麗...


あがった花火が大きな音を立てて

消えていくと同時に

頬になにかが触れる感覚がした

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