Emotion【SHO.H】 (ページ36)

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いったいどこにいるんですか...
紫耀が出て行った後、直ぐに私も教室を出たから簡単に見つけられると思っていた。
どんなスピードで歩けばそんなに早く姿を消せるんですか....

そしてハッと思い出す。
本当に私は馬鹿だ。

‘‘紫耀と言えば’’

ここでキマリだ。
暫く通う事のなかった彼の城。
久しぶりの入室の第一声は何にしようか。

このドアの向こうに紫耀がいるのだとド○○キしながら恐る恐るドアを開ける

.
.

その光景は
完全に浮かれて調子に乗っていた私にとってとんだサプライズであった。

絶頂から一気にどん底へ突き落とす。結局紫耀はそういう男であった。
紫耀にとって意気地のない私の愛は始まる前におわっていた。
と、いうか初めから全部、嘘だったのかも知れない。

私にくれた言葉も
私に対する態度も
私に感じていた恋心なんてものも。

きっと自分のものにならなかったことへの苛立ちから始まった、私を一気に突き落とすための罠だったのだ。

「紫耀？誰この人」

私って本当に本当に阿保
紫耀って名前を呼ぶ人なんて私だけじゃないんだから。私だけ''特別''とか、そんなんじゃないんだから。

全て彼の思惑通りだったのか。
きっと、''「あほ」''って言えば私がひょこひょこ追いかけてくるのだとわかっていたのだ。

それでいてこの紫耀と女with私なんて可笑しな状況を作り出したのだ。
彼は悪魔だ。

や....ばい...
涙が溢れ出す前に
心が泣き出すまえに行かなきゃ...

とにかく走ろうとした
ただ闇雲にその場から逃げたかった

私の一歩目がドアの外へ踏み出されたと
同時に知らない女を連れ込んだこの城の主もまた私に向けて一歩進む

慌てて二歩目をぐんと前に突き出して走り出す。
同時に彼の脚もまた二歩目を踏み出して走り出す

.

.

いつの日かと同じだ。追いかけっこ状態。
何で...？
何で追いかけてくるの？

惨めだからやめて頂戴。
あなたに合わせる顔なんてないの。
決して振り返らずに私は紫耀から逃げた