Emotion【SHO.H】 (ページ33)

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それにしても中々帰ってこない紫耀。
携帯を弄るのにも飽きて私は部屋に飾ってある写真を拝見することにした。

どれどれこれが幼き紫耀さんか。

.............可愛い。
大人たちに囲まれて真ん中どセンターで思いっきり歯を出して両手ピース。
その姿はやんちゃな少年そのもの。
幼稚園生くらいの年齢か？
けれど紫耀以外の大人たちはみんなそろって無表情。なんだこの異様な写真。

次に並ぶ写真は
多分紫耀が小学校卒業の時の写真だと思われた。
かなり整いだしてる、この男。
きっとこの頃からモテモテだったんだろうなあ。

けれどこの写真も明らかに変だ。
前の写真と見比べると数段と暗い顔をしている紫耀。周りにいる大人たちは相変わらず笑顔なんて一切作らずに。紫耀までもが無表情。

いつかドラマで見たことがある。
お金持ちで有りがちな、問題と言えば。
遺産相続問題でうまくいっていないのか？
お金持ちはお金持ちで大変そうだなと思った。

そんなくだらない推理を始めた瞬間
ドアの扉がガチャっと開いた

.
.

紫「酸欠女」

1ヶ月ぶりに聞いた私に向けられた彼の第一声はこれだった。確かに...そうだが。
正直、もっと酷いことを言われるかと思っていた。「帰れ」とか「誰？」とか。
そう言われてもおかしくないほどに
この1ヶ月紫耀と私は関わっていない。

「久しぶり」

久しぶりでもないのだが、
なんて言えば正解かわからなかったからとりあえずそう言っておいた。

けれど不正解だったようだ。
私の「久しぶり」はしれっとシカトされた。
なんか...ムカつく。

「今日、ありがとう。」

「...あ、体育のはなしね」

紫耀は私の事を無視続けるつもりみたいだ。
あーなんか...

「なんで無視すんの、器ちっちゃ！！」

こんなこと言うつもりなかったけど
人がお礼をしているのにこの態度はあんまりではないか

紫「...きが..」

「え？」

紫「..着替えたいから一瞬後ろ向いとって」

なんだそれ。
着替えの理を得ようが為にタイミングを見計らっていたのか？躊躇っていたのか？

紫耀って不器用すぎないか？
それなのに私は紫耀に器がちっちゃいなどと。

紫「や、ええんやで別に。俺は見られても。けどお前は嫌かなって思て」

唖然として立ち竦む私に恥ずかしそうにそう声をかけてきた紫耀に思わず笑ってしまった。