Emotion【SHO.H】 (ページ27)

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あーだめだ。絶対目が腫れてる。
というか、なんで私はこんなになるまで泣いているのだろうか。
自らで望んでいたことなはずなのに。

舞「あーやっぱりここにおった」

「舞美」

舞「平野となんかあったん？」

舞美は蹲る私のとなりにそっと座って
私の頭をなでてくれた。

「なんにもない」

舞「A？隠したって無駄。涙出るほど辛いことなんやろ？」

東京に居る彼氏のことが好きで
けれど紫耀のことも好きで
私は東京の彼氏、廉を選んだ。
それなのに紫耀に突き放されて傷ついている

....なんて。言えないもん。

「大失恋したの。紫耀に」

舞「振られたん？平野、Aにあんなにぞっこんやったやん」

「騙されてたのよ。アホみたい」

私は結局こうやって
紫耀のことを悪者にして
自分だけは傷つきたくないからって守って。
最低。

舞「それホンマの話なら全くおかしな話やなあ(笑)」

「え？」

舞「さっきAが泣きながらでてった時、平野凄い心配そうな顔してたで」

そんなはず、ない。
私は紫耀のことを突き放して
紫耀はそんな私のことを嫌いになった。
だから飽きたで終わらせられたんだもん。

「本当に心配なら追いかけてくるはずよ」

舞「Aが1番わかっとるやろ？彼奴は素直やない」

知ってる。嬉しいって感情も悲しいって感情もいつも上手に隠すんだもの。
でもたまに隙を見せてくれる時があって
それを見れた日は胸がキューンてなったもの。

舞「何があったのかは知らんけど、仲直りは早めにな」

もしかして
私がちゃんと廉のところへ戻れるように
わざと冷たくしてくれたのかもしれない。
彼なりの優しさで。

まだそんなことを考えてる私って
全然、反省してないじゃん。

「仲直りはしない。もういいの。」

私と関係を一切断ち切る。
紫耀がそれを望んでいるなら
ちゃんとその通りにしてあげたい。
それが紫耀への償いになるのならそれでいい。

舞「Aも意外と素直やないなあ」

私のことをこんなにも親身になって考えてくれる友達に、私は平気で嘘をつく。
私ってどこまで最低なんだろう。

ごめんね舞美

ごめんね紫耀

ごめんね廉

「好きだった」

できるだけ上手に笑って
紫耀に伝えることのできなかった言葉を
舞美に告げた。