Emotion【SHO.H】 (ページ21)

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久しぶりに廉と抱きしめあって迎えた次の日。
今日は2人で近所で過ごすことになった。
廉が私が生活している町を知りたいと言ったから。

正直、少し不安がある。
廉という彼氏がいることを知っている人はいないからもし同じ学校の誰かに会ってしまったらという不安である。
まあ別に隠す必要もないのだけれど。
面倒くさいことになるのは嫌だなと思った。

けれど廉の望みなら叶えてあげたい。
きっとたくさん我慢して会いに来てくれたんだもん。
そう考えただけで私の胸はキューンと縮まる。

廉「Aー？着替え終わった？」

「うんいいよー」

廉「裸で抱き合うのは良くてなんで一緒に着替えんのはダメなん？」

「理由なんてない、ほら行こう」

着替えと行為は別だ。
行為中は、全てをさらけ出して頭の中は何にも考えられなくなる。だから、恥ずかしいとかそういう感情は忘れてしまう。
その分着替えは、なんだか我に返ってしまい、無性に恥ずかしい。私って破廉恥だ。

.

廉とこの電車に乗るのは
なんとなく変な違和感だった。

廉「ほんまに田舎なんやなあ」

「そうなのよ」

廉「後どれくらい？」

「10分くらい」

廉はそっかと言いながら隣に座る私の手をそっと取る。

廉「10分ぎゅっとしとこ」

「ふふっどうしたの」

廉「10分したら離す。絶対な」

離さなくてもいいのに。
なんて思ったけど口には出さなかった。

.

廉「え？10分早！！」

電車の中で手を繋ぎ始めてからは
他愛もない話をした。
主に長妻くんの話とか阿部くんの話とか。
そうしたら時間はすぐに過ぎた。

「さっ、手を離すんだよね？」

ちょっと廉に意地悪しちゃおう。
きっと廉、やっぱ、離さない！とか言い出すんだろうなあ。

廉「そうやな」

そのまますっと手を離して
私達は電車から降りた。
あれ？廉....？

「廉、変だよ。なんで手離すの。」

廉「ゆーたやん10分て」

「そんなの撤回して繋ごうよ。ほら」

廉「...もおさあホンマに」

廉は結局私の手を繋ぎ直した。
最初からそうすればいいのに。

廉「期間限定やん」

「え？」

廉「会えるのってさ、なかなかないやろ？だから離したない」

「うん、だから繋いでて」

廉「ちゃう。繋ぎたくても自分の中で限界決めとかないとダメやねん。それ超えちゃうと、ホンマに離したなくなる」

廉「このまま2人でどっかっ駆け落ちしたいってなっちゃう..から..」

この男は...！
変態なこの男は実は意外と純朴な青年なのだ。
好きだ、好きだたまらなく。