Emotion【SHO.H】 (ページ3)

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転校先での挨拶ってどうも苦手。とはいっても初めての経験だけれども。

教室全体の視線が私に集まるって極度に緊張する。廉は昔転勤族だったと聞いたことがある。この経験を何度もしているのだと思ったら何だか凄いなと思った。

「なあ、東京からきたんやろ？」

私が座った席の隣から声を掛けてきたのはなんともかわいらしい容姿をした男の子だった。

大「俺、西畑大吾。よろしくな結城さん」

黒板に堂々と書かれた私の名前を呼んでにっこりと微笑みかけてくれた西畑くんには男子というより青年という言葉が似合う気がする。

「よろしくね」

大「わからんことあったら何でも聞いて？まー俺もまだ2年目やけど」

はじめは2年目？と思ったけれど、この学校の生徒になって2年目か。とすぐに理解できた。

HRが終わり初めて、今日は午前中で下校できるということを知った。帰ったら廉に電話しようと思いながら教室を出ようとすると今度は細身の女の子に声を掛けられた。

「なあ、結城さん！これからよろしくな！」

第一印象は元気で活発そうな女の子。背は私より高くてスラッとしている。

舞「あ、舞美！坂下舞美！舞美でええよ！」

私が黙っていたからか名前を名乗ってくれた彼女を素直そうだなとも思った。

「舞美。よろしくね。私の事もAって呼んで」

舞「勿論！A！なあ、一緒に帰ろうや」

大「ちょい舞美！おまえのテンションで話し掛けたら迷惑やろ！！」

舞「っハァ？うっさいチビ！散った散った」

舞美は私の手を引いて教室を出る。

舞美との帰り道。
後から聞くと西畑くんと舞美は幼馴染だという。さっきの光景を見るとなんとも可愛らしい幼馴染だなと思った。「仲がいいのね」と言うと「どこがや」と返された。

大阪と言っても私が越してきたこの街は殺風景で、自然に囲まれ辺りには木一面。一言で言ってしまえば田舎であった。

「あんなとこに山もある」

舞「大阪にもこんな場所があるんやよ」

正直、大阪は活性化している街。というイメージが強かったから私には驚きの連続であった。

舞「けど電車一時間乗れば都会やから不便なことは少ないで」

「映画館はある？」

舞「勿論」

「じゃあなんの問題もない」

舞「映画が好きなん？」

「うん」

舞「今度一緒に行こうや」

「勿論。連れて行って」

舞美と友達になることに時間はかからなかった。そして‘‘彼と出逢ってしまうこと”にも時間はかからなかったのだ。

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