Emotion【SHO.H】 (ページ16)

今日:7 hit、昨日:14 hit、合計:425,520 hit

016 ページ16

午後の授業が始まる。
よりによって退屈な数学だ。
勉強は得意な方ではないし、好きでもない。

無意識う''平野くん今何やってるだろう?''
と彼のことが気になった。
決して好意とかではなくて彼の生態が気になるのだ。彼は''特別''だから。

確かにはじまりのチャイムが鳴った時
席に着席はしていた。
これで真面目に授業受けてたらちょっと面白いな(笑)

先生の目を盗んで
私はそっと左斜め後ろを向く

「...。」

その瞬間彼と目があった。
正確に言えば彼は頬杖を付きながらじっと私の事を見ていた。
慌ててその目を逸らそうとした時、彼はパチリと片方の目を閉じた。

ウインクされた....。

私は黒板に目を向けなおす。
今のって...こっち見てたよね？
いやいやそんなことない。
きっと私の勘違いに過ぎない。

我に言い聞かせて私は再びノートに文字を移し始める。

.

それにしてもつまらない。
私は10分も経たずまた別のことを考えていた。
...平野くん、やっぱりさっき見てたよね？だって態とらしくウインクしたもん。
いやけど、なんで私の事見てるの？
...もしかして平野くん本気で私のこと好きなの？

ってないない。
ありえない。彼はかの有名な遊び人平野紫耀。ないないない

と言いつつ、やっぱり気になってしまった私は再び恐る恐る左斜め後ろを振り返る。

.

勘違い。
.....じゃなかった。
平野くんは頬杖をつきながら確かに私をガン見している。
その証拠に平野くんの近くの席の西畑くんはニヤニヤしている。

なんだか急に恥ずかしくなって
視線を落とそうとすると
平野くんが何やら口パクをし始めた。

''「すき」''

彼と私の視線が交わって
私は思わず我を忘れて
彼は平然とその言葉を口にして
私の脳内を掻き乱して、惹きつけて、いっぱいになる。

「おい、結城、授業中だぞ！」

先生の声を聞いて
慌てて黒板に目を戻す。

なんで私だけ。
今のはどこからどうみても平野くんが悪いじゃない。
あぁそっか彼は特別だから。

一体、彼は何を考えているのだろうか。彼は本気なのだろうか。だとしたらどうして私なのだろうか。

私の頭の中はいつのまにか
彼で埋め尽くされていた。