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０３５ ページ35
０３５
唇が離れた後
「ごめん」
気づいた時には遅かった
頬に涙が流れていた。
「今さらだって思うだろうけど
俺Aのことが好きだ」
『平野くんなに言ってんの？』
「俺がやってしまったことは消えないし
それでAを泣かせたのもわかってる
でも好きなのはAだけで
大事なのも大切にしてあげたいのもAだけ」
『同じ名前の女と浮気したくせに
幼馴染でその子のことだって大切なくせに』
手を引かれて紫耀の胸の中
自分からギュッと抱きついた。
『紫耀のばか、嫌い大嫌い
もう顔も見たくないの
紫耀といると苦しいんだよ
辛いのにもう離してよ』
「嫌なら突き飛ばして、
その手だって離せばいいやろ」
その通りだ、ほんとはもう離したくない。
紫耀はどう思ったのか
わたしを自分の体から離した
目があって
「なんで泣くの？」
『紫耀のこと好きだからだよ』
どちらからもなく
唇が触れ合った。
#暗涙
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作者名：Rika | 作成日時：2018年7月18日 0時
