サイレントティアーズ(shoren) (ページ25)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:25,342 hit

０２５ページ25

０２５

「最近廉くんと仲いいわね」

母親から挨拶以外で話しかけられたのは

久しぶりだった。

『うん、そうかも』

「付き合ってるの？」

『そんなんじゃないよ』

少し残念そうな顔をした。

母親は廉のことを小さい頃から

気に入っていたから。

「A、話があって...

あのね、少し前から

付き合っている人がいて

その人と結婚することになったの」

母親は不器用な人だ、

話しかけ方も

きっと廉の話がしたかったわけではないだろう

それをきっかけにしただけ。

男関係もだ、

今までだって彼氏はいた。

でもうまくいくことはあまりなくて

落ち込んでいる姿を何度も見て来た

そのたびわたしは少し安心していたのかもしれない。

最低かもしれないけど

母親には結局わたししかいない

そう思いたかったんだ

『...そうなんだ、おめでとう』

落ち着いたように返すけど

心はズキズキと痛んだ

「今度一緒に食事しようと思うんだけど

来てくるわよね？」

『もちろん！』

わたしちゃんと笑えてるよね

「相手も子持ちの人で

Aより１つ下の男の子だから

年が近いから仲良くなれるかなって」

弟ができるんだ、

うまく接することはできるのかな

『ママ、仕事やめるんだよね？』

そうわたしが聞くと

微笑みながら頷いた。

それならよかった

やっと母親をあの世界から

解放してあげられるんだから

#暗涙