58 クラスメイト ページ8
電車を降りて駅から出ると、また暫く歩く。
満員電車で私が潰されないように守ってくれていたゾムさんにお礼をすると「…おん」と微妙な返事が返ってきた。
やがて、一度は来た校門が見えてきた。
校門をくぐると、ここでゾムさんとはお別れだ。
私は中等部棟の昇降口へ、ゾムさんは高等部棟の昇降口へ行くから。
「帰りも俺と一緒やから、終わったら待っとってな。何かあったら、高等部棟来てええから」
「はい…」
不安そうにする私の背中をそっと押して、ゾムさんは見送ってくれた。
名残惜しさを振り切って昇降口で靴を履き替えて職員室へ向かうと、私の担任になる先生が教室へ案内してくれた。
曰くもう朝のSHRが始まるらしく、先に教室に入った先生が生徒を静めて席につかせる。
その声をドキドキしながら廊下で聞いていると、やがて名前を呼ばれる。
教卓の前に立って、自己紹介を促された。
「…A・フューラーです。」
「Aさんは諸事情で最近まで学校に行けてなかったのだけど、今日からこのクラスに通うことになりました。みんな手助けしてあげてね」
グルッペンさんのファミリーネームを名乗るのは、まだ慣れなくて少し間が空いてしまう。
短く自己紹介した私に、先生が少し補足すると教室に拍手が起こった。
「Aさんはあの席に」と言われて空席に向かうと、隣の席は女の子のようで、私が座った途端に話しかける。
「ねえ、フューラーさんってハーフなの？見た感じそう見えないけど」
「ハーフではないよ。えっと、Aって、名前のほうで呼んでくれたら助かる、かな。」
「オッケー！よろしく、A」
人好きする笑みを浮かべたその子に安心する。
その子は、
「男子みたいな名前でしょ？」と笑ったその子に、「そんなことないよ」と返す。
「私もAって呼ぶから、私のことも悠飛って呼んで」
「わかった。えっと、悠飛ちゃん」
「え〜、ちゃん付けかぁ……まぁいっか！」
中学3年の、しかも進級して暫くたったクラスに途中から入るのは正直不安だった。
でも、悠飛ちゃんが隣の席でよかった、と安心する。
朝のSHRは諸連絡だけで終わって、先生はすぐに教室から出ていった。
「次体育だよ！一緒に行こ！」
同級生の女の子と連れ立って歩くなんか、久々だ。
ワクワクしながら悠飛ちゃんの隣を歩いた。
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遥(プロフ) - 前作から読んできました。また更新シテクレテありがとうございます！無理をせずに頑張ってください！ (2021年12月8日 13時) (
レス) @page24 id: ed604a5787 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - なめらかさん» とんとんさんのことばがすごくあったかかった。優しい、主さん (2021年12月8日 9時) (レス) @page24 id: 315f44b475 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - なめらかさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。励みになります。今後も更新を頑張ってまいりますので、応援よろしくお願いいたします！ (2021年12月8日 5時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 素敵なお話で一気読みしてしまいました！心が暖かくなります(* ´ ` *)陰ながら応援しております…！ (2021年12月8日 1時) (レス) id: 8591759a73 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - @死神れもんさん» コメントありがとうございます、お久しぶりです。長らくお待たせしてしまいましたが、まだ読んでくれる方がいることがとても嬉しいです。相変わらず更新は遅いですが、これからもお付き合いいただけますと幸いです。 (2021年4月3日 9時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななし | 作成日時：2020年5月15日 10時
