56 衝撃の事実 ページ6
「っわ、あ、すごい……」
見事にシュートを決めたコネシマさんに、思わず拍手をしようとしたその時。
味方とグータッチをしていたコネシマさんが、もう一度こちらを見た気がした。
再び、目が合って、その目はすっと細められる。ニカリと笑ったコネシマさんに、なぜか胸がきゅっとなった。
「っ！」
「チッ、コネシマが何カッコつけとんねん」
不機嫌なのを隠さず言ったショッピさんが、私を振り返る。
「見学も大体終わったし、そろそろ帰らへん？……A？」
「えっ、あ、はい！そうですね」
訝しげな顔をしたショッピさんの手を握り返すと、グラウンドに背を向けて歩き出す。
車を停めていたところまで来ると、来たときと同様にグルッペンさんは運転席へ、私はショッピさんと一緒に後部座席へ乗り込んだ。
家に向けて進み出した車内で、会話が弾む。
「Aは学校始まったら、部活とか入るん？」
「うー…そうですね…勉強も人より遅れてるので、部活までやる余裕がない気が……」
「勉強はエミさんが見てくれとるんやろ？なんなら俺も教えるし」
さらりと言ってのけたショッピさんに、驚いて目を見張る。
ショッピさんっていつも面倒ごとは上手く躱してるのに、自分からそんな申し出をしてくれるなんて。
「そういえば、Aって何年生になるのか知らんねんけど…」
「あっ」
完全に忘れていた。
そういえば、自分でも私の年齢がわからなくて学年は気にしていなかった。
運転しながら私たちの会話を聞いているだろうグルッペンさんに訊いてみると、何でもないように返ってきた。
「ん？まだ言ってなかったんか。
Aは3年生だゾ。世間一般的には受験生だな」
「へ、中３！？俺の1個下！？」
「受験生……」
それぞれ別のところで衝撃を受けている私たちに、グルッペンさんは愉快そうに笑う。
「まぁ、Aは受験しなくてもそのまま高等部に上がれるけどな」と言ったグルッペンさんに、ほっと胸を撫で下ろした。
「マジか……もっと年下やと思っとった……
まぁ言うて中１くらいやと……」
私は他の同い年の子たちと比べて体が小さいらしい。
そういえば、小学校に行っていたときも、同級生はみんな大きく見えていたっけ。
それからなんだか打ちひしがれている様子のショッピさんは、家に着く頃には、
「年が1個しか違わんでも可愛いのは変わらんしな」
と不思議なことを言って立ち直っていた。
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遥(プロフ) - 前作から読んできました。また更新シテクレテありがとうございます！無理をせずに頑張ってください！ (2021年12月8日 13時) (
レス) @page24 id: ed604a5787 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - なめらかさん» とんとんさんのことばがすごくあったかかった。優しい、主さん (2021年12月8日 9時) (レス) @page24 id: 315f44b475 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - なめらかさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。励みになります。今後も更新を頑張ってまいりますので、応援よろしくお願いいたします！ (2021年12月8日 5時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 素敵なお話で一気読みしてしまいました！心が暖かくなります(* ´ ` *)陰ながら応援しております…！ (2021年12月8日 1時) (レス) id: 8591759a73 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - @死神れもんさん» コメントありがとうございます、お久しぶりです。長らくお待たせしてしまいましたが、まだ読んでくれる方がいることがとても嬉しいです。相変わらず更新は遅いですが、これからもお付き合いいただけますと幸いです。 (2021年4月3日 9時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななし | 作成日時：2020年5月15日 10時
