55 砂埃の向こうで ページ5
こっちです、と昇降口に入っていくショッピさんについて行く。
校長先生との挨拶はつつがなく終わり、後は自由に見学していいことになった。
宣言通り、ショッピさんが前を歩いて案内してくれる。
レンガ造りの塀で囲まれた大きな敷地の中には、学舎が二つ。
一つは高等部の校舎、もう一つは中等部の校舎。その二つの間には、綺麗な中庭が広がっている。
中等部の校舎と高等部の校舎は、渡り廊下などで繋がってはいないものの、行き来がかなり自由らしいから驚きだ。
学校でも、シャオロンさん達に会えるってことかな。
校舎内の見学を粗方終えて、今は靴に履き替えて敷地内を歩いている。
綺麗に整備された中庭を通り過ぎて、色とりどりの花が咲く花壇に沿って歩いていくと、遠くから元気な部活生の声が聞こえてきた。
グラウンドが近いようだ。
「そのまま行ったらグラウンドやけど、見に行く？」
そう言って訪ねてくれたショッピさんにコクリと頷くと、ショッピさんは私の手を引いて歩き出した。
数歩遅れてついてくるグルッペンさんは、私たちをなんだか微笑ましげに見ているようだ。
少し歩くとグラウンドが見えてきて、ショッピさんは風で舞う砂埃が届かないくらいの距離で立ち止まった。
グラウンドより数段高くなっている地面で、等間隔に植えられた木が影を作っている。
ぼうっとグラウンドを眺めていると、駆け回る大勢の部活生のなかで一つ、いっとう目にとまる姿を見つけた。
コネシマさんだ。
太陽の光を浴びて、金糸の髪がいっそう輝いている。
目にも止まらぬ速さで駆け回る部活生の中でも、特に素早くグラウンドを駆けているように見えた。
今コネシマさんを含むサッカー部は
思わずコネシマさんを目で追っていると、ふと振り返ったスカイブルーと、目が合った気がした。
「あ、」
刹那、エンジンがかかったように走り出したコネシマさんが、相手のゴールの手前でスピードを緩める。
すると、それを予期していたように味方がパスを出し、ボールがコネシマさんの足元にすっと収まる。
そして、敵がそれに追いつくより速く。
コネシマさんが蹴り出したボールが、吸い込まれるようにゴールへ入り、ネットを揺らした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1682人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遥(プロフ) - 前作から読んできました。また更新シテクレテありがとうございます！無理をせずに頑張ってください！ (2021年12月8日 13時) (
レス) @page24 id: ed604a5787 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - なめらかさん» とんとんさんのことばがすごくあったかかった。優しい、主さん (2021年12月8日 9時) (レス) @page24 id: 315f44b475 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - なめらかさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。励みになります。今後も更新を頑張ってまいりますので、応援よろしくお願いいたします！ (2021年12月8日 5時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 素敵なお話で一気読みしてしまいました！心が暖かくなります(* ´ ` *)陰ながら応援しております…！ (2021年12月8日 1時) (レス) id: 8591759a73 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - @死神れもんさん» コメントありがとうございます、お久しぶりです。長らくお待たせしてしまいましたが、まだ読んでくれる方がいることがとても嬉しいです。相変わらず更新は遅いですが、これからもお付き合いいただけますと幸いです。 (2021年4月3日 9時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななし | 作成日時：2020年5月15日 10時
