75 上手くいくって ページ26
私の気持ちはすっきりしていたとは言ったが、いざ学校へ来てみるとやっぱり少し怖い。
意を決して教室へ入って行った私は、実は拍子抜けするほど上手くいったのだ。
カエ、もとい奥原さんと、話す機会があったのだ。
そこで奥原さんは私に、「昨日Aさんがいないところで酷いことを言っちゃったから、ごめん」と言った。
私は、てっきりあの時私があの場に居合わせて、たまたまその会話を聞いてしまったことを奥原さんに気づかれていたのかと思った。
しかし奥原さんの話を聞いていると、悠飛ちゃんも奥原さんも、あの時私が話を聞いていたとは知らないみたいだった。
奥原さんは、「最近持久走ダルいなとか、悠飛がAさんに取られるかもとか思ってて、Aさんは悪くないのに八つ当たりするみたいなこと言っちゃった」と言っていた。
私が奥原さんの言葉を聞いていたことを知らないのなら、奥原さんからすれば、黙っていれば私は何も知らないままだ。
それなのに、翌日に気持ちを改めて私に直接謝りに来てくれた。
奥原さんは、すごく真っ直ぐな人なんだなと思った。
適度にその場しのぎをしたり、嘘をついて誤魔化したりしない。
「感情的になると思ってもないことを口走るのが私の悪いところ」とは、奥原さんが自分で言っていたけれど。
私は奥原さんのことを当然許して、代わりに友だちになってもらった。
「カエって呼んでよ、みんなそう呼ぶから」と言われたけどまだくすぐったくて、カエデちゃんと呼ぶのが精一杯だ。
帰り道は、今日のことをトントンさんに早く報告したい気持ちでいっぱいだった。
道中ずっとソワソワしている私を見て、一緒に帰っていたゾムさんとショッピさんは不思議そうにしていたけど、はじめにトントンさんに伝えると決めていたので言うわけにはいかないのだ。
「昨夜話した子とも、友だちになれたんです！」
ようやく言いたいことを言えた私は、満足して頬が緩んだ。
昨日の暗い顔の私を見ていたみんなは驚きつつも、にこにこしている私を見て安心した様子だった。
「そぉか。よかったわ。Aやったら大丈夫って思っとったけどな」
そう言って目尻にシワを寄せたトントンさんと笑いあった。
トントンさんと一緒に夕飯の準備をしていたひとらんらんさんは、事のあらましを知らないので不思議そうにしていたけど、「何か上手くいったらしいから、おめでとう」と言って小鉢のおかずをひとつ多く盛り付けてくれた。
続く (更新停止中)
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遥(プロフ) - 前作から読んできました。また更新シテクレテありがとうございます！無理をせずに頑張ってください！ (2021年12月8日 13時) (
レス) @page24 id: ed604a5787 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - なめらかさん» とんとんさんのことばがすごくあったかかった。優しい、主さん (2021年12月8日 9時) (レス) @page24 id: 315f44b475 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - なめらかさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。励みになります。今後も更新を頑張ってまいりますので、応援よろしくお願いいたします！ (2021年12月8日 5時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 素敵なお話で一気読みしてしまいました！心が暖かくなります(* ´ ` *)陰ながら応援しております…！ (2021年12月8日 1時) (レス) id: 8591759a73 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - @死神れもんさん» コメントありがとうございます、お久しぶりです。長らくお待たせしてしまいましたが、まだ読んでくれる方がいることがとても嬉しいです。相変わらず更新は遅いですが、これからもお付き合いいただけますと幸いです。 (2021年4月3日 9時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななし | 作成日時：2020年5月15日 10時
