71 懺悔は涙になって ページ21
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「今日、学校で何かあったやろ」
「え……？」
私と目線を合わせたトントンさんが、そう切り出した。
予想外の言葉に思わず口を閉ざす。
学校からは、ただ体調不良だとしか連絡がいっていないはずだ。だとしたら、私の態度から勘づかれたことになる。
「なんで、わかったんですか」
「そりゃあ、Aがそんな顔しとったらわかるよ。他の奴らも気づいとったはずやけど、踏み込みすぎもアカンって言えてないだけやと思うで。」
それで、何があったん。
そう尋ねたトントンさんの声や表情があまりにも優しくて、私はつい、また涙を零しそうになる。
すると、咄嗟に喉にのばした手を、トントンさんが掴んだ。
「……っ」
「それ、クセなん？泣きそうになったら、喉締めようとするやろ。ダメやで、クセなら直さな。」
ビクリと震えて身を固くした私の手を、トントンさんは安心させるように握りこんだ。
手のひらから体温を移すように、優しく。
大丈夫、大丈夫やから。と私を落ちつかせるように繰り返したトントンさんに、とうとう我慢できず涙が零れた。
「首のとこ、ちょっと赤なっとる。だいぶ薄いから、俺もさっき気づいたけど」
「っひ、く……ぅ…ふっ………ごめん、なさっ」
「ううん、ええんよ。悪いクセも、ちょっとずつ直してったらええねん。」
ぽんぽん背中を撫でられて、少しずつ気持ちが落ちつく。
トントンさんの温かくて大きな手のひらに、ひどく安心感を覚えた。
「学校の人に何か言われたん？」
「ぅ……っで、も………わ、たしが、悪い……っから…っ」
「なんでそう思うん？」
私の支離滅裂な言葉にも、トントンさんはちゃんと聞き入れて相槌を打つ。
涙が頬を伝って落ちる前に、トントンさんが親指の腹でそっと拭った。
「っわた、し……すごく、嫌な子、で……だから、トントンさんにも………っこんな、優しくしてもらう資格、ないのに………」
「いや、Aが嫌な子なわけないやん。それとも誰かに言われたん？」
トントンさんの言葉に違うと首を横に振る。
涙のせいで上手く言葉が出ない。
どうにか涙をとめようとぎゅっと強く目を閉じると、強ばったまぶたの上からそっと撫でられた。
「ん、大丈夫や。焦らんで、ゆっくりでも、つっかえながらでもええから、話してくれん？」
トントンさんは、涙を振り切るように目を閉じていやいや、と首を振る私を受け入れるように、そっと頬を包んだ。
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遥(プロフ) - 前作から読んできました。また更新シテクレテありがとうございます！無理をせずに頑張ってください！ (2021年12月8日 13時) (
レス) @page24 id: ed604a5787 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - なめらかさん» とんとんさんのことばがすごくあったかかった。優しい、主さん (2021年12月8日 9時) (レス) @page24 id: 315f44b475 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - なめらかさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。励みになります。今後も更新を頑張ってまいりますので、応援よろしくお願いいたします！ (2021年12月8日 5時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 素敵なお話で一気読みしてしまいました！心が暖かくなります(* ´ ` *)陰ながら応援しております…！ (2021年12月8日 1時) (レス) id: 8591759a73 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - @死神れもんさん» コメントありがとうございます、お久しぶりです。長らくお待たせしてしまいましたが、まだ読んでくれる方がいることがとても嬉しいです。相変わらず更新は遅いですが、これからもお付き合いいただけますと幸いです。 (2021年4月3日 9時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななし | 作成日時：2020年5月15日 10時
