67 思い、悩む ページ17
ありがとうが言えて安心した私は、ショッピ兄とトントンさんを待つ。
その間に話題は自然と移り変わった。
「A、あのとき何であんな人気のない廊下におったか、訊いてもええ？」
ドクン、心臓が変な音をたてて鼓動が早まる。
それもそうだ。
ショッピ兄が私を見つけたのは、きっと人が通ることが滅多にないような場所。
それは、昨年まで同じ学校の中等部に通っていたショッピ兄だって知っていることだ。
そんなところで私がひとり蹲っていたなら、理由が気になるのも当然だ。
でも、何から話せばいいんだろう。
日直の仕事で理科準備室へ行って、その帰りに前を通った教室から、私の話が聞こえて、
びっくりして、思わず逃げ出して
その話をしてたのは、ここに来てはじめて出来た友だちの友だちで。
考えこむ私をショッピ兄が覗き込むと、ショッピ兄は慌てたように私の肩に手を置いた。
「あ……えっと、」
「無理しなくて、いいっすよ」
ショッピ兄はそう言って止めたけど、私がそんなに酷い顔をしていたのかな。
なんとなく自分の頬に触れてみると、指先が思ったより冷たくなっていた。
「やっぱり、まだ話せへん？」
「……はい。その、ごめんなさ…ッケホ」
再び小さく咳をした私の背中をショッピ兄が優しく撫でた。
無理はしなくていいと言ってくれたけど、やはり罪悪感が浮かぶ。
ショッピ兄は私を助けてくれたのに、理由も話せないなんて。
罪悪感に俯いていると、少しして校門の前に１台の車が停まった。
私より先に気づいたショッピ兄が「トントンさんや」と行って歩き出す。
車の前まで行くと、トントンさんは車から降りて私の前に立った。
目線を合わせるように少しだけ屈んで私の顔色を見る。
「大丈夫か？ちょっと顔色悪いな。ん、後ろ乗り。ショッピくん、荷物は助手席に置いてくれるか」
トントンさんはわざわざ後部座席のドアを開けて私を乗せてくれた。
ショッピ兄が助手席に私の荷物を乗せると、トントンさんはショッピ兄と車の外で数言話したあと運転席に乗り込んだ。
私は先に後部座席に乗っていたので、外での二人の会話は聞こえなかった。
車を発進させる前に、トントンさんが私のほうに振り向いて「気分悪なったらすぐ言ってな」とだけ言うとエンジンをかけた。
朝にゾムさんと登校した道のりを逆方向に戻っていくのを車窓から眺める。
バックミラー越しに、トントンさんが心配そうにこちらを見ていた。
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遥(プロフ) - 前作から読んできました。また更新シテクレテありがとうございます！無理をせずに頑張ってください！ (2021年12月8日 13時) (
レス) @page24 id: ed604a5787 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - なめらかさん» とんとんさんのことばがすごくあったかかった。優しい、主さん (2021年12月8日 9時) (レス) @page24 id: 315f44b475 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - なめらかさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。励みになります。今後も更新を頑張ってまいりますので、応援よろしくお願いいたします！ (2021年12月8日 5時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 素敵なお話で一気読みしてしまいました！心が暖かくなります(* ´ ` *)陰ながら応援しております…！ (2021年12月8日 1時) (レス) id: 8591759a73 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - @死神れもんさん» コメントありがとうございます、お久しぶりです。長らくお待たせしてしまいましたが、まだ読んでくれる方がいることがとても嬉しいです。相変わらず更新は遅いですが、これからもお付き合いいただけますと幸いです。 (2021年4月3日 9時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななし | 作成日時：2020年5月15日 10時
