65 弱い私 ページ15
「A…」
「ッ…ゴホ、ゴホｯ……ぅ…」
ショッピさんは床に膝をついたまま私を見上げ、心配そうに声をかける。
大丈夫です、だから、そんな心配しなくていいのに。
そう伝えたくても口から出るのは咳ばかりで、大切な人に迷惑と心配ばかりかけるこの体が恨めしかった。
ショッピ兄が手を握ってくれてしばらくすると、少しずつ咳も治まってきた。
そこで、タイミングを見計らったように保健室の先生が顔を出した。
「Aさん、おうちの人と連絡がついたけど、どうする？今日はそのまま早退しようか？」
「あ……でも……」
先生の言葉に俯くと、私が迷っているのを察したショッピさんが手を握る力を少し強めた。
「A、無理せんで帰ったほうがええんちゃう。午後Aのクラス体育あるやろ？」
ショッピさんの言葉にドキリと心臓が変な音をたてた。胸がスっと冷えて、背中を冷や汗が伝っていく。
体育の授業は、まだ持久走が続いている。
私は見学だけど、それを見たら、奥原さんはどう思うんだろう。
さっき偶然耳にしてしまった言葉を思い出す。
私の病弱って、アピールみたい？ウザいのかな。今日話していたのは奥原さんだっただけで、もしかしたら、クラスの他の人たちもそう思ってるのかな。
悠飛ちゃんは奥原さんの言葉をやんわり否定してくれていたみたいだし、でも、
悠飛ちゃんも、もしかしたら、
「A……？」
「っ……」
ショッピさんの声に驚いて顔を上げると、ショッピさんと目が合う。
同じく驚いたような、困惑したような顔をしたショッピさんはゆっくり私の頬に触ると、そのまま先生に向き直って口を開いた。
「A、やっぱり顔色悪いんで早退させてください。」
「わかったわ。もう少し待っててね」
そう言って先生は、恐らく保留にしていた電話の受話器をとってまた話しはじめた。
漏れ聞こえる会話的に、トントンさんが迎えに来てくれるみたいだ。
数言言葉を交わしたあと先生は受話器を置いて、私に向き直った。
「お兄さんが迎えに来てくれるらしいから、Aさんは荷物を持って校門で待ってようか」
「したら俺、Aの荷物まとめて来ます。Aはここで待っててな」
そう言ってショッピさんは保健室から出ていった。
ショッピさんが戻ってくるのを待ちながら、私はただ俯いて唇をかみ締めた。
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遥(プロフ) - 前作から読んできました。また更新シテクレテありがとうございます！無理をせずに頑張ってください！ (2021年12月8日 13時) (
レス) @page24 id: ed604a5787 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - なめらかさん» とんとんさんのことばがすごくあったかかった。優しい、主さん (2021年12月8日 9時) (レス) @page24 id: 315f44b475 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - なめらかさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。励みになります。今後も更新を頑張ってまいりますので、応援よろしくお願いいたします！ (2021年12月8日 5時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 素敵なお話で一気読みしてしまいました！心が暖かくなります(* ´ ` *)陰ながら応援しております…！ (2021年12月8日 1時) (レス) id: 8591759a73 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - @死神れもんさん» コメントありがとうございます、お久しぶりです。長らくお待たせしてしまいましたが、まだ読んでくれる方がいることがとても嬉しいです。相変わらず更新は遅いですが、これからもお付き合いいただけますと幸いです。 (2021年4月3日 9時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななし | 作成日時：2020年5月15日 10時
