線香花火が散る頃に【d!】【kn】 (ページ2)

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彼女はその後薬だけ貰って家に帰った。

症状が悪化したら入院するらしい。

それまでは家で適度に運動して健康的な暮らしをしなければいけないとのこと。

ヘビースモーカーの彼女も流石に煙草を辞めた。

俺も弱った彼女の姿を見て煙草を辞めた。

彼女はまだ知らないが、医者から彼女の余命は長くて今年。

短くて二か月程だと言われた。

彼女に言うかとても悩んだが、残り少ないかもしれない余生を楽しく生きてもらうためにも言わないことにした。

彼女は薬を飲むことによって風邪の様な症状は落ち着いた。

流石に違和感は残るらしいが意外と普通らしい。

俺は直ぐに彼女の仕事を辞めさせた。

いつもブラックだなんだと言っているのだ、特に悲しさとかはないだろう。

彼女が辛くない程度に色々なところに遊びに行く予定を立てた。

東京、千葉、沖縄、北海道。

楽しさでこの不安感をどうにかかき消そうと頑張った。

パンフレットを笑顔で見る彼女が肺がんだなんて信じられない。

これからも優しい笑顔で生きていくんだと思ってしまう。

でも。

覚悟は後からついてくる。