最悪のスタートを切りました

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(渡辺side)






マスター｢お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ｣






対面に座った楠の顔をまともに見れないまま、頼んだシャーリーテンプルとシャンディガフをマスターが持ってきてくれた。






渡「え、と…とりあえずカンパイ、するか」

A「あ、うん、」

渡「あ……カンパイ…」

A「うん、乾杯」






カツン、と軽い音を立ててグラスを合わせて、ひとくち。こく、と飲み込めば、喉を炭酸の刺激が通る。

ぷは、と息を吐いて。

楠の方を向けば、目が合った。






A「あ………」

渡「あ…………」






やば。





何から話そう






えっと







.






渡「あの…………さ……………」


A「あ、うん、」


渡「こないだの、飲み会の日、の、ことだけど」


A「！！」







.





こわばる表情。






それは、これから聞く質問に、早くも肯定をしていた。






だけど、聞かなきゃ。







.







渡「あの日……」



A「うん」



渡「あの日、さ、俺のこと、送ってくれて」



A「うん…」



渡「んで………そのあと、さ」



A「………うん」






.








渡「おれら、その、」






A「したよ」





渡「え」







.






A「えっち。したよ」








.







ああ、








.








渡「……そか、あの」
A「けどいいよ、気にしてない。生理来たし、別にこの年だからハジメテがどうこうとかない」

渡「あ、いや、てか」
A「だからほんと、渡辺も気にしなくていい。覚えてないなら忘れていい。何もなかったんだよ」







.







畳み掛けるように言葉を重ねてくる楠



ちがう


そういう事が言いたいんじゃない






.







A「だから忘れよう！はい！なにもなかった！ね！ 渡「違う！！！」

A「え？」







.







そういう事が言いたいんじゃない




俺だって、この２日間でいろいろ




腹、括ってきたんだ







.






渡「無かったことになんかしたくない」


A「いや、けど」


渡「無かったことになんかできない」


A「ええよ、気にせんで」


渡「いやだ」






.






渡「だって、俺、お前のこと好きだし」







.








.








.







なぁ








.







なんでそんな泣きそうな顔すんだよ







.

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