君と僕−鍵のついた心−

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君の傘を握りしめて走る通学路。









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見慣れた後ろ姿。


風になびく黒髪。







君が振り返る。









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A｢佐藤くん。

あれ、その傘持ってきてくれたの？｣









勝利｢あ、うん。｣









A｢この傘、男から貰った奴だから捨てていいよ。｣









そう言い君は傘をごみ捨て場に置いていった。









“男から貰った奴”






この言葉が頭から離れない。









勝利｢あのさ笹本。

お前って兄妹いる？｣









A｢いない。

お兄ちゃんが居たらしいけど死んだって聞いた。

叔母さんのところに住んでるから名字は笹本だけどね。｣









勝利｢俺も…そう聞いた。

前の名字覚えてる？｣





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君は我に返ったのか冷たい眼差しに戻る。









A｢そんなの知らなくたっていいでしょ。

今日は帰る。

そう先生に言っといて。｣









勝利｢どこいくんだよ。｣









君の腕を掴む。









A｢そんなの私の勝手でしょ。｣









君は僕の腕を振り切り走っていく。







君の心には鍵がついている。


きっと自分しか開けられない。





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