story6 ページ7
それからしばらくの間は2人でボーっとして
俺も先輩も携帯をいじることなく、ゆっくりと流れる時間に身を任せた
「国見くん」
国「・・・はい」
「りんごジュースは好きかい？」
国「は？まあ...嫌いじゃないです」
「そっか」
突拍子もない質問を投げかけてきた先輩はベンチから立ち上がって、どこかに歩いていく
国「(名前...覚えててくれた)」
俺は名前を覚えられてた若干の嬉しさと、先輩が居なくなった隣に物足りなさを感じながら先輩の後姿を目で追っていくと大きな木で見えなくなってしまった
―ガッシャン...ガッシャン
静かな中庭に大きな音が響いたと思ったら、大きな木の陰から小さなペットボトルを2つ持った先輩がペタペタと上履きの音を鳴らしながら帰ってきた
「はい」
国「あ、ありがとうございます。」
「いいえ〜」
国「自販機あるんですね」
「そうそう、りんごジュースしか美味しいの無いけどね〜」
国「逆に他は何があるんですか」
「青汁豆乳とかカフェオレとか...」
国「前者はわかりますけど、カフェオレダメなんですか？」
「コーヒーはミルクとか砂糖入れても苦いもん」
大人っぽい雰囲気の先輩は、うえーっと嫌そうな顔をしながらりんごジュースを飲んでいる姿は少し面白い
国「そういえば先輩は自習時間なんですか？」
「ちがーう」
悪びれる様子もなく軽い返事が返ってくる
国「ふーん」
「国見くんは自習？」
国「そうです」
「いいね〜」
お互いに深入りはしないから初めて会話をしたとは思えないほど楽で居心地がいい
その後は気が向いたときに会話を交わしたり、ボーっとしたり..好きなように過ごした。
国「(あぁ…あと5分で自由時間が終わってしまう)」
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作者名：しぃ | 作成日時：2020年3月11日 2時
