氷上に咲く花と僕。３

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「昌磨、なんかあった？」


バレているのか……

ゆづくんは、練習の時からずっと思ってたんだけど、とすかさず付け加える。



ファイナルも無事終了して、エキシビションの練習中。ただ、いろいろ考えすぎてなかなか練習に集中できなくて、周りの人にも心配されているくらい。



「Aちゃんだよね」

「ん、やっぱそうだよな」



……さらっと知子ちゃんも話に入ってくる。
知子ちゃんはしれーっと話に入ってくるから怖い。



「「何があったの⁉」」


2人で偶然なのか合わせたのか、ピッタリと同じセリフを重ねて僕に向かって話してくる。

これは言うべきなのかな？




「えーっと、ちょっと喧嘩しちゃって……」



そう言うと2人は驚いたように目を丸くさせる。
そうだよな……




「Aがケンカするなんて。あーゆー性格だからちょっと意外かも。」


「ほんとに。意外と子供っぽいことあるんだねAちゃん。あんなこと言ってたのに…」




ニヤニヤしながら知子ちゃんが言ってくる。

待って、あんなことって？




「知子ちゃん、何それ。」

「去年の全日本のエキシビの練習の時にAちゃんが昌磨く…」


そこまで言ってしまったといったように口を閉じる。自分の名前が出て今更言わないなんて許さない。



「昌磨くん？ 何が？」

「なんでもないです……」


うわ！ 口がいきなり堅くなった！
しかもこの場から逃げようとしてる！



「さっとん、それ俺も知りたいんだけど」

「ダメ！ 言ったのがAちゃんにバレたら…」



知子ちゃんの顔がサーっと青くなる。
これはきっとAに相当脅されてるな。




「とにかく私は絶対言わないから！」


知子ちゃんは相当意思が固いみたいでどんなに頼んでも教えてくれそうになくて、渋々諦めることにした。



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