氷上に咲く花と僕。３

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「………マジか」



実に約１ヶ月ぶりくらいに見たけど、相変わらずすごい。

今、軽井沢での毎年恒例の夏合宿中。
軽井沢に着いてリンクに入るともう滑っていた。



３ルッツ＋３トーループ


今だって高難度のジャンプを軽々決めちゃってるし。一応ケガして休んでたのに、復活してサラッと３回転＋３回転を跳べたら、うらやましい限りだろう。



「宇野くん。久しぶり。」

「もう足大丈夫なの？」

「全然。３アクセルは禁止されてるけど。」




そりゃそうだ! あんな足に負担がかかるジャンプやっちゃいけないでしょ！

禁止宣言をさらっと言うと、リンクを一周ぐるりと見回した。


僕もその後を追うように視線を向けると、Aの動きがぴたりと止まった。そして一点を静かに見つめている。

なんだ、そういうことか。





「まだ草太くんと「宇野くんに言われたくない」」




ピシャリとシャットアウト。でも前と比べて傷つかなくなった。うん、僕、強くなった。

草太くんも今シーズンからシニアにあがる予定で、けがも治ったみたいで合宿に参加している。



確かAといろいろあったのってもう半年くらい前じゃなかったっけ。



「早くなんとかしなよ」


というか僕も早く仲が戻ってほしいと思ってる。草太くんからもいろいろ言われてるし。





「わかってるわよ」


そう答えるAはどことなく前と雰囲気が変わったような気がした。


どうしてもノービスの時のイメージが残ってるからか、大人っぽくなったAに戸惑いを覚える。





「………なんか大人っぽくなった？」

「そりゃ宇野くんからしたら。」





……大人っぽく見えるのは見た目だけ。

中身はまだまだ幼稚だ!


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