氷上に咲く花と僕。 (ページ36)

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全日本選手権のショートを終えて僕はゆづくん、町田くんについで３位。

正直すごく驚いてる。

女子もその後にすぐショートがあったらしく、Aはトリプルアクセルがダブルになってしまい、２位だった。1位は知子ちゃん。

「昌磨、全力で戦ってきなさいよ」

満知子先生と美穂子先生に見送られリンクに入っていく。

僕の名前がコールされて、曲が流れはじめる。

これが今年最後の試合かあ、と思うとちょっとだけ悲しくなる。

この一年、本当にいろんなことがあった。
やっぱり一番はAと出会ったことだけど。

いつになったらAが話してくれるのだろうか。
というか、話すときは来るのか？

でも彼女は、いつか話すと約束してくれた。
僕はそれを信じている。

ジャッ

トリプルアクセルも決めた。
なんか調子がいいみたい。

やっぱりAのおかげかも。

そう思っていた時だった。

ジャンプは全て終わってコレオシークエンスに入ろうとしたとき――――――

客席にAが見えた。

いや、Aじゃない。

顔はすごく似てるけど、Aの肩にかかるかかからないか程度の髪をバッサリショートカットにしたような、Aよりも少し大人っぽい感じのする人だった。

誰だろ。

気がつけばもうフィニッシュのポーズをとっていて、客席はスタンディングオベーション。

その人も他の観客に紛れて見失ってしまった。

とにかくフリーは疲れたけど良かった。

けどあの人は、

観客たちが座ったときにはもういなかった。

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