氷上に咲く花と僕。 (ページ32)

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日本に帰ってきて本格的に全日本に向けた練習が始まった。

僕たちジュニアはフリーがいつもより30秒長い構成にしなければならない。だから僕なんて曲を一度通すだけでヘトヘトになっちゃうんだ。

「体力なさすぎじゃない？」

Aだ。
Aは帰国してからより練習に熱が入っている。それもあってジャンプの成功率が各段に良くなってる。

バンケットの後、特にゆづくんとは何もなく終わった。

「宇野くん、身長伸びた？」

これって褒められてる？
確かにAと初めて会ったときよりも3㎝くらい伸びたかも。

「ごめん、気のせいだった。
やっぱり小さいわ。」

褒められてませんでした。

「昌磨ーっ、佳菜の相談乗ってー！」

「どうしたの？」

佳菜ちゃんだ。

「佳菜さ、大学の人にかっこいいな～って思ってる人がいて、何とその人から一緒に映画に行かないか誘われちゃったんだ～♪」

佳菜ちゃん超嬉しそう。
佳菜ちゃんがかっこいいと思うような人ならきっとイケメンなんだろうな。

「良かったね。で、どこが相談なの？」

「昌磨冷たーい!
あのね、佳菜はその人かっこいいと思ったけど
絶対恋愛にならない自信はあるの。
だから映画とか一緒に行っても佳菜絶対好きに
はならないと思うんだよね。

なのに一緒に映画とか行っていいのかな？」

ん？どういうこと？
かっこいいと思ったのに恋愛にならない自信ある？
何で？

そんな僕に気づいた佳菜ちゃんがあーっ！と叫びだした。

「昌磨に相談したのが間違いだったー！
龍樹くんに相談するべきだった！
自分から好きになったことないでしょ！」

あっさり言い当てられちゃって、固まってしまった。やっぱりね、と佳菜ちゃん。

「恋愛ってどこを基準に恋愛って思うの？」

佳菜ちゃんは少し悩んで、
「そんなの人それぞれだよ。」と言った。

「佳菜はね、誰でもときめいたら恋愛だと思うの。なかなかときめくことなんてないし。」

そうなんだ。
確かに女の子にときめいたことないかも。

「あとは、その人が他の人と話してたり、仲良
くしてるのを見たり？
笑顔が好きってのもあるよね。」

僕にもそう思える人が出来るようになるかな。

「好きな子出来たらすぐ佳菜に言うんだよ！
佳菜、絶対その子のこと好きになると思うんだよね。」

そのとき僕はこの言葉の意味がよく分かっていなかったけど、後になって思うと佳菜ちゃんはこのときから僕の未来を予知してたのかも。

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