氷上に咲く花と僕。 (ページ29)

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「Aーっ早く行くよー！」

「少しくらい待ってくれてもいいじゃん」

次の日、僕たち３人はゆづくんが出るグランプリファイナルの男子ショートを見に行った。

「そんなんだから草太はモテないんだよ！」

「そんなことないもん！」

二人とも相変わらずです………
草太くんがモテないなんてことないと思うけどな。

「ごめん、お待たせ。行こっか。」

会場に着くと、まだ試合は始まっていないというのにすごい熱気に包まれていた。
日本からはゆづくん、樹くん、無良くんの三人が出場するということもあって、日本人もたくさんいた。

「すごい、やっぱジュニアとは違うね。」

「そりゃそうでしょ。宇野くん、ホントに来季シニアに上がれるわけ？」

「余計なお世話だよ……」

そう、僕はファイナルで優勝した後、先生たちと相談して来シーズンからシニアに上がることになった。だから来季からはゆづくんたちと戦っていかなきゃならないんだ。

「Aはどうするの？」

「まだ分からない。世界ジュニア終わってから考える。年齢は越えてるしね。」

Aも来季どうするか話し合ったそうだ。
もしシニアに上がったとしてもAだったらきっと表彰台に当たり前のように登っちゃうんだろうな。

「世界ジュニア優勝するの？」

「前にも言ったでしょ。
今回メドベデワちゃんに負けたんだから! 悔しくて悔しくて仕方ないの。」

今回の女子のジュニアのファイナルで優勝したのはロシアのエフゲニア・メドベデワ。
年はAと一緒。ショート、フリーどちらも完璧に演技し、文句なしの優勝だったらしい。

「最強ロシア勢？それが何よ！
次は絶対勝つんだから! 日本なめんなよ！」

「何様なの。」

「A様だけど？」

はい、了解しました。
僕だって絶対世界ジュニア優勝してやる！

「２人とも、6分間練習始まるよ！」

草太くんに言われてリンクのほうへ目を向けるとゆづくんたちがリンクへ勢いよく入っていく姿が見えた。

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