氷上に咲く花と僕。 (ページ25)

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『ありがとう』って言おう

…………なーんて思ってたんだけど、僕はアイツの性格をすっかり忘れていた。

「僕が昌磨くんのとこにいる予定だったのにな～。でも次は負けないからね！」

そう言うのは首から銀メダルを掲げる草太くん。草太くんはフリーでちょっとしたミスが響いて銀メダルだったんだ。

僕はあの後フリーでジュニア世界歴代最高記録を更新した。その結果、ジュニアグランプリファイナルを優勝することが出来たんだ。

「でも昌磨くんホントすごかったよ!」

ライバルをそうやって褒めてくれる草太くんこそ本当に優しいと思うよ。

日本人初のジュニアグランプリファイナルでのダブル表彰台という快挙を成し遂げた僕らは表彰式で国歌を歌ったり、記念撮影をしたりしてあっという間に終わってしまった。

でも本当に優勝できるとは思ってなかったなあ。

「私も草太が優勝すると思ってたよ。」

「Aーっ！」

僕が反応するより前に草太くんがAのほうに駆け寄っていった。

「２人ともお疲れさま。」
「Aどうだった!?」

ナイス草太くん！
僕が今一番聞きたいことをサラッと聞いてくれた!

「銀メダル。やっぱりフリーだけじゃどうにもならなかった。」

「銀メダルでいいんだよ！まだ改善出来るんだし僕とメダルの色同じだよ！」

「草太、ウザい。」

Aによれば、フリーではトリプルアクセルもコンビネーションジャンプもしっかり決めたらしい。トリプルアクセルに関しては加点を3点ももらったと言う。自己ベストを出したんだけどショートが響いて銀メダルだったんだ。

「ま、世界ジュニアで優勝するし。」

「どっから来るの、その自信。」

「トリプルアクセルの加点ほとんどもらえてない宇野くんに言われたくない！」

それ自分でも気にしてるんだから言うなよ！

「はあ!? ショート跳べなかったくせに！」

「私はトリプルアクセル半年で習得したんですー。5年かかった人とは違いますー」

「なんだとぉ……！」

「２人ともやめてよ。」

僕たちの間に割ってとめる草太くん。

「それよりさ、シニアの公式練習見に行かない？」

顔をキラキラさせてお願いしてくる。

………それ草太くんがゆづくんに会いたいだけだよね。

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