幸せになれますか？

3. なんて汚い... ページ3

私は一条ホールディングスという、身内ながら言いにくいがおそらく今一番勢いのある、外交会社の娘だ。簡単に言えば、日本国内はもちろん、日本と世界との架け橋を作り、様々な商品や食べ物などのありとあらゆるものの輸入、輸出などを管理する大きな会社だ。


私の父、一条勝はその一条ホールディングスの現社長。


そして次女である私は、姉が結婚し家を出た今、様々な会食やらパーティーに駆り出されるいわば、会社と会社の仲を留める、会社の「駒」だ。







『あ、A、あちら那須様だ、挨拶しろ。』



「はい。」



どうやら私の決められた相手様のお父様、言い換えれば那須商事の社長がお見えになられたみたいだ。相手様の親御さんに気に入られることは現代の政略結婚では非常に大事だ。
気に入られないなんてことがあると、当然婚約は解消、その社との関係も危うくなる。




「こんにちは、この度はお世話になります。一条Aです。今後ともよろしくお願いします。」



『こんにちは。勝くん、礼儀正しくお美しいお嬢様だね、うちの息子にはもったいないぐらいですわ。Aさん、よろしくね。』



『いえいえ、そんな。そちら様の息子さんには全くもって叶いませんよ。今後も娘共々よろしくお願いいたします。』





本人同士は合わせてくれないくせに親同士は対面を何度も重ねるなんてどんな汚い方法だ、と何度思ったことか。でもそんなこと言ってられない。




「よろしくお願いします。」



父と共に頭を下げた。

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