初めての喘息 7月15日 0歳 ページ7
深夜、Aが咳をする音で目を覚ました。
慌ててベビーベットのAを見ると、苦しそうに咳をしている。
呼吸するときに変な音もでている。
なんだこれ？！
初めてのAの様子に、俺の頭はパニックになった。
その中でも、読み漁った育児本の中から答えを探す。
痰のからんだような咳。
ヒューヒューという呼吸音。
夜中に起こりやすい。
もしかして、喘息ってヤツか？！
俺は慌ててスマホを手に取り、小山に電話をかけた。
どうか出てくれ、と祈りながらコール音を聞く。
「もしもしシゲ？どうしたの？」
「小山、大変だ！Aの様子がおかしい！
喘息かも！」
焦ってそう言うと、小山はすぐに指示を出してくれた。
「そう。唇とか爪とかが青くなったりしてない？」
爪と唇？
Aを見て確認すると、いつもより少し青くなっている気がした。
「少し。これ、ヤベーのか？！」
「シゲ、落ち着いて。今から、病院の夜間救急に連れていって。
シゲの家からだと、救急車を呼ぶよりもたぶん早いから。
横にさせると余計に苦しくなっちゃうから、体は起こした状態にしてあげてね。
俺、今日は当直で病院にいるから、救急外来で待ってる。」
「わかった、すぐに行く！」
俺は電話を切ると、Aを抱き上げ、財布と車の鍵だけを掴んで、家を飛び出した。
事故を起こさないように、それでも急ぎながら運転し、病院につくと救急外来まで走った。
「すみません！3ヶ月半の女の子なんですけど」
受付でそういうと、小山が既に話を通していてくれたらしく、すぐに看護師さんが来てくれた。
「こんばんは。いつから症状がでていますか？」
「今日の夜中です。」
「わかりました。ちょっとAちゃんお預かりしますね。
待合い室でお待ちください。」
病院で看護師さんに診てもらえることになり、ようやくひと息つくことができて、待合い室に腰を下ろした。
「シゲ。」
聞き覚えがある声に、周りを見渡して声の主を探す。
「まっすー！なんでここに？」
「祐也、喘息の発作を起こしちゃって。」
「そうなんだ。Aもそれっぽくて、慌てて連れてきた。」
そう返すと、まっすーは笑いだした。
「シゲさ、普段は割りとなんでも冷静にこなすのに、Aちゃんのことになると一気にドタバタするよな。」
「別に、そんなことねーよ。」
そんな適当なことを話しているうちに、自然と心配していた気持ちも落ち着いてきた。
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作者名：作者 | 作成日時：2018年8月26日 20時
