俺と妹の22年 (ページ25)

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ホームルームを終えて、まっすーから言われた生徒指導室に行くと、二人はパイプ椅子に座らされ、こんこんと説教されていた。

まっすーのお説教はいつも、怒鳴る訳ではないが容赦がない。

「にぃっ！」

入ってきた俺に気づいたAが、すがるような目で見てくる。

が、まっすーがそれを許すわけもなく、

「A、お話終わってないんだけど。」

そう言われれば、Aもまっすーの方を見るしかない。

Aも祐也くんも、もう涙で顔がグシャグシャだ。

「子供だけでお外に行かない。
それに、保育園は絶対に抜け出さない。分かった？」

必死にうなずく二人がとても可愛い。

「もー、ほんとにビックリしたんだから。
もしも二人に何かあったら、お父さんも兄ちゃんも悲しすぎてどうにかなっちゃうよ。」

優しく笑って頭を撫でれば、それがお説教終了の合図だ。

Aは、すぐに俺の方に走ってきた。

「にぃっ…ごめんねっ…」

しゃくりあげながら謝るAの背中を撫でていると、しゃくりあげる音はすぐに寝息に変わってきた。

「いっぱい泣いて疲れたみたい。」

苦笑いでまっすーの方を見れば、祐也くんもまっすーの腕の中でスヤスヤと眠っていた。

「まあな。それに子供からしたら、保育園から学校まで歩いて来るのは大冒険だし。」

寝ている二人を抱っこしたまま、そのへんの椅子に座る。

「それにしても、恐ろしいことしでかすよね。」

「ほんと。お宅のお嬢から言い出したらしいよ？」

「そうなの？ごめん、巻き込んじゃって。」

「いや、祐也もノリノリだったんだから同じだよ。
このあとどうする？」

「幸いテスト期間中で部活は無いから、もう帰る？
この子たちがいたら、仕事してられないでしょ。」

「だな。いっぱい泣かせちゃったし、今日の夕飯はファミレスでも行く？」

まっすーが提案する。

たくさん叱った後につい甘やかしてしまうのは、俺らの共通点だ。

「そうしよっか。小山にも行くか聞いておく。」

「よろしく。
もちろん、今日はシゲ持ちだよね？」

まっすーが当然のように言うから、目が点になる。

「なんで？」

「だって俺は、可愛い可愛い2人を叱るという精神的重労働をした訳。
その対価としては、ファミレスの食事じゃ足りないくらいだけど？」

たしかに、そうだけども…！

…というのは冗談だったようで、結局は3人で割り勘をした。

でも、Aと祐也くんのあの笑顔を見れるんなら、ファミレスで奢るくらい安いものだとも思った。