俺と妹の22年 (ページ23)

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お遊戯会の衣装作り3　10月24日　4歳ページ23

まっすーのお母さんに手取り足取り教えてもらい、なんとか作業が進んだ。

「なんだか懐かしいわね。
貴久のときも、なかなか凝った衣装だったのよ。
1番大変だったのは、西遊記の牛魔王だったかしら。あの子ったら、衣装がカッコいいからって牛魔王の役に立候補したのよ？悪役なのに。」

「衣装とかファッションにこだわるところ、昔から変わってないんですね。」

そういえば、まっすーなら自分で衣装を作れそうだし、そういうことが好きそうなのに、なんでお母さんに頼んだんだろう？

「ほんとね。成亮くんは小さい頃、どんな役をしたの？」

そう聞かれ、幼い頃のほろ苦い思い出が蘇る。

「衣装が簡単な役にしてました。
両親に面倒だって思われたくなくて。
俺、養子だったので。
こうして衣装作りの大変さを実感すると、あの時の選択は正解だったんだなって思います。」

ほとんど人に話さない、養子だった過去を話すことができたのは、まっすーのお母さんの人柄にあるんだろうか。

「あら、そうだったの。
でも、ご両親も衣装を作るのを面倒だなんて思わなかったんじゃないかしら？」

「え？」

その言葉に、思わずお母さんの顔を見た。

「だって今成亮くん、面倒だなって思ってる？」

「いや、そんな訳ないじゃないですか。
妹の衣装作るのに。」

「それと同じ。
それに、衣装を作るのも楽しいものよ？
1年でこんなに大きくなったんだっていうことが実感できるじゃない。」

そう言われて、ハッとした。

「…もったいないこと、しましたね。」

お母さんは、何も言わず俺の肩を叩いた。

その優しさが滲みる。

なんだか、やっぱりまっすーのお母さんなんだなーと思う。

その後、昼食を挟んで作業を続け、夕方にやっと完成した。

完成した衣装を見たAは、目をキラキラさせて飛び跳ねて喜んだ。

それを見るだけで、疲労感がどこかへ飛んでいく。

祐也くんも、隣で嬉しそうにはしゃいでいる。

「ありがと。祐也、さっそく着てみよっか。」

「Aも！」

着替えさせてやると、サイズはピッタリでとてもよく似合っていた。

「にぃ！ありがと！！」

「どういたしまして。お遊戯会、頑張れよ。」

帰り道、はしゃぎ疲れて寝てしまった2人をそれぞれおんぶしながら、気になっていたことをまっすーに聞きてみた。

「そういえば、なんでお母さんに作ってもらったの？まっすーなら、自分で作れるでしょ。」

「まぁ、親孝行みたいな？母ちゃんそういうの好きだから。」

今更ながら、親子が少し羨ましくなった。