俺と妹の22年 (ページ13)

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歩いた日 9月15日 1歳ページ13

今日は、まっすーと祐也くんが家に遊びに来ている。

もうすぐ２歳半になる祐也くんは、だいぶハッキリと喋るようになった。

「ちげー、Aちゃ！」

いまだに俺は、ちげって呼ばれてるけど。

前は、一緒に遊ぶというよりもただ同じ空間にいるだけといった感じだったAと祐也くんも、最近ではかなり一緒に遊んでいるという感じになってきた。

本当に、子供の成長って早い。

「Aちゃん、もう少しで歩きそうだな。」

机に手をついて歩きながら、祐也くんのあとを追うAを見て、まっすーが言う。

「そうなんだよ。つたい歩きはだいぶするようになったんだけど、あとひと息がなかなかで。」

「わかる。なんかもどかしいんだよな。」

「祐也くんもそうだった？」

「うん。
Aちゃんは早く産まれたんだから、平均より遅くたって大丈夫だよ。心配ないって。」

「あ、心配してたのバレてた？」

見透かされていたことが恥ずかしくて、照れ笑いする。

「バレバレ。
寝返り、ハイハイ、立つ、全部気にしてたじゃん。」

すべて見られていた恥ずかしさで一杯になり、俺は逃げるようにトイレへ行った。

用をたし、深呼吸を繰り返し熱くなった顔を冷ます。

「シゲ！シゲ早く！」

出ようとしたところで、まっすーの焦った声が聞こえてきた。

何かあったのかと、リビングに走って戻ると、興奮しているまっすーと、座ってキャッキャと
遊んでいるAと祐也くんがいた。

「なんだよ、なんでもないじゃん。焦って損した。」

「歩いた！いま何にも掴まらないで歩いたの！」

「いや、前から歩いてるじゃん。」

「違うって！祐也じゃなくてAちゃん！」

「マジで！！？」

大声を出した瞬間に、後悔した。

俺の声にビックリした二人は、揃って泣き出した。

まっすーからも、ジロリと睨まれる。

なんかデジャブだ。

「え～、俺見てないのに。歩いてよ～」

「泣いてんだから、ムリだろ。」

まっすーは冷たく言い放った。

「なんでまっすーには見せて俺には…」

結局、Aが歩くところを見たのは、その翌日だった。