俺と妹の22年 (ページ12)

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「おかえりなさい。座って座って。」

家に帰ると、小山に促されるままに席についた。

Aもベビー用の椅子に座らせる。

「お誕生日おめでとー！」

小山の音頭で乾杯をした。

今日は俺が墓参りに行くこともあり、並んでいる料理は全てテイクアウトしたものだ。

「ほんと、あっという間だよな。
2年前に産まれたばっかなのに、もう喋ってるんだもん。」

「うちはまだだけどさ、歩いたり喋ったりしたら、スゲー可愛いんだろーな。」

こう話している間も、祐也くんはキャッキャと声を発している。

正直俺には、何を言ってるのか分からないけど、まっすーは分かっているようで返事をしていた。

俺も、Aがこのくらい話すようになったら、言ってることを理解してあげられるんだろうか。

「これ、俺からのお誕生日プレゼント。
これが祐也くんので、こっちがAちゃんの。」

小山がくれたのは、しかけ絵本だった。

「小さい子には、やっぱりこういうのがいいかな？って。」

「ありがとう。」

「あっとー」

まっすーに続いてマネをする祐也くんの姿に、つい頬が緩む。

「ありがと。
あ、これ一歳からって書いてある。
一歳からの絵本ってあるんだ。初めて知った。」

「そうなんだ。
シゲって、とにかくマニュアルを読み込むタイプだし、育児本も読み漁ってたから、絵本ももう買ってるのかと思った」

まっすーが驚いた顔をして言う。

「ああ、あれ？
ちょっと前まではいろいろ読み漁ってたんだけどな。
結局、育児本通りに行かないし、こうすればこうなるってのが分かった状態で子育てするのもどうなのかなって思い始めて、今は病気に関する本だけにした。」

「マジメなところは、昔から変わってないね～」

「そういえば、シゲって小さい頃どんな子供だったの？」

「聞きたい？」

「おい、勝手に話すんじゃねーよ！」

「あー！」

「ほら、祐也も聞きたがってる。
Aちゃんも、笑って机叩いてるよ。」

え？なにこれ？俺の味方は？

なんでAまでそっちにつくの？

始まった昔話に俺のHPはかなり削られた。

「ってまあ、こんなところ。
あっ、もう３時だ。祐也くんもAちゃんも疲れちゃうだろうし、今日はこれでお開きにしよっか。」

「そうだな。」

今日は、初めての誕生日だった。

来年も、再来年も、ずっとこうして楽しく誕生日を迎えられますように、と祈りながら後片付けをした。