もう……２

6 ページ6

光side

圭人が伊野ちゃんを椅子に寝かせ、落ちてしまった毛布を
また伊野ちゃんにかけてあげていた

俺は体温計のボタンを押すと、前回の履歴が出てきた
光)伊野ちゃん熱上がってる……

まだ東京まであと数時間はかかるが
いまは東京に向って帰るしかない……
俺たちがしてあげられることもない

俺達は買ってきた弁当を食べ始めたが、なかなか弁当の中身はなかなか
減らなかった､､､
ついさっきまで、あんなにお腹がすいてたというのに……

大ちゃんが伊野ちゃんのために買ってきたゼリーは
どんどん冷たさを失っていった

ねぇいのちゃん？大ちゃん伊野ちゃんのために凄く真剣に
ゼリー選んでたよ？

早くいつもの可愛い笑顔で「おいしい！」って幸せそうな顔見せてよ


どうして急に過呼吸が起こったの？
何を抱えてるの？
少しでも、伊野ちゃんが楽になるのなら、教えて欲しいな…

そんなことを思いながら、僕は伊野ちゃんの横の席に座った

薮)熱上がってるよね？

光)もう1回計り直そうか

俺は伊野ちゃんに体温計を挟んだが、その時触れた肌は凄く熱を持っていて、
熱が上がってることは確実だと思った……

光)39.1°だ……

慧)……ひかぁ…？

光)あっ起きた。大丈夫？ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

慧)ふぇッ(涙)

伊野ちゃんが起きて、俺は頭を撫でながら聞くと
急に泣き始め、細い腕で力一杯俺に抱きついてきた
「どうした？」と聞きながら、俺も伊野ちゃんを抱きしめるとより
伊野ちゃんの腕の力が強くなった

慧)こわかっったぁー(涙)
どこにも行かないではぁはぁはぁ、
やだこわかった､､､はぁはぁ、こわかった(涙)

光)ごめんっごめんね！！！！
もうずっと横にいるから！

慧)ほんとぉー？はぁはぁ

光)ホントだよ？


ポタポタ出てくる伊野ちゃんの涙を拭いてあげて、もう1度ギュッと
包み込むように抱きしめてあげると、落ち着いてきたみたい

光)大ちゃんがおいしいゼリー、いのちゃんのために
買ってきてくれたよ？食べる？

慧)……すこし

光)うん食べよっか！

そうすると、すぐにニコニコした大ちゃんがゼリーを
渡してくれた

慧)大ちゃん……？ありがとねぇ？

有岡)どーいたしまして( ´罒`*)✧"


ほんのすこしだったけど、「おいしい」って、
食べてくれた

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す