最愛 3 (ページ37)

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課長が不機嫌な理由とか考えないようにして
集中してメールを処理していく。

先輩方に必要な資料を配布したりアポ取ったり、
来社される予定お客様の対応の準備したり。

秘書の仕事は幅広くて大変なんだけど、私は好き。

色んな状況を想定して準備したり、
欲しいと思うであろう書類を先回りして準備したり。

最近それが出来つつある自分が楽しい。

二宮主任のスパルタ教育のおかげだと思う。

そういえば最近お会いできてないな。
秘書室に向かうのも久しぶりだし。

そう思ったら楽しみになってきて
処理速度が上がった。

私って単純。

キリの良いところまで片付けて
櫻井課長のデスクに寄って

「課長、秘書室に行ってきます。」

そう言ったら、やっと私の顔を見上げて

「ああ、頼むね。」

「小会議室、押さえてありますがお客様でしょうか？」

「うん。今手掛けてる企画のサポートしてもらってるやつなんだけど、大学の同級生だから。」

「お茶等はどう致しましょうか？」

「いいよ、気にしないで大丈夫。打ち合わせしたらそのままそいつと相葉くんと外出するから。」

「わかりました。」

「ん。多分定時には戻れないから直帰かな。」

今日は課長の顔をもう見れないんだ。

課内に居れば、

私に話しかけてる訳ではなくても
課長の声が聞こえるし

チラ見して勝手に嬉しくなったり出来るのに。

「そんな顔するなよ。」

そう言って私の指先を一瞬握って

「帰ったら連絡するから。」

朝の不機嫌な課長はもう居なくて

優しい笑顔で胸がぎゅんってなった。

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