41 ページ41
・
「そろそろ帰りますか。」
「はい。」
昨日の悲しみは、随分と軽くなっていた。
何も話していないけど
心が少し明るくなったのは
松本課長がくれた自信のおかげ。
お会計しようとしたら
もうお支払いは終わっていて
「スマートだろ？」
「惚れた？」
ってまた笑わせてくれた。
「ご馳走様でした。」
お店を出た時にお礼を言ったら
「うん。送ってくよ。」
そう言って歩き始めた。
「この先に隠れ家みたいなバーがあるんだ。」
「よく行くのですか？」
「うん。翔さんとニノとね。」
「行ってみたい？」
櫻井課長の行きつけのお店は行ってみたいけど、また見たくない光景に遭遇してしまったら...とか考えちゃう。
そんなマイナス思考もあるけど
どんなお店で飲んでるのだろう？
とか
カウンターに肘ついてグラス傾けてる櫻井課長の姿を想像して絶対かっこいい！
とか考えてたら
「連れてってやんないよ。」
「えっ、どうしてですか？」
「隠れ家だから(笑)」
連れて行ってくれないと思ったら
余計に行きたくなるから不思議。
「行ってみたいです。」
「そ？じゃ、次のデートで連れてってやるよ。」
「次のデート?!」
「なにー？嫌なの？」
「違います！」
デートって言葉だけでドキドキするのに
次のって。
松本課長の意図がわかんない。
「ははっ！わかんなーいって顔してる。」
「ま、そうやって俺の事も考えてみてよ。」
タクシーを停めて
私を乗せて
「今日は送るのやめた。帰したくなくなりそうだから。」
そう言って頬を撫でて
「じゃ、お願いします。」
って運転手さんに声掛けてドアを閉めた。
なんか、凄いこと言われたような...。
揶揄われているだけなのよね、きっと。
あんなに素敵な人なんだから
ちょっと優しくされたからって
いい気になったら大変っ！
櫻井課長に夢中な私だって
ほら、ちゃんとドキドキしてるから。
松本課長が思ってる以上にドキドキしてるから。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1679人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハルヒ
| 作成日時：2019年8月13日 9時
