最愛 1 (S.S) (ページ16)

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そのお店は表通りから一本入った
少し静かな通りで
雄大な門構え。

こんな都会の真ん中に、これだけの店構えできるってだけで、もう絶対超高級店。

新入社員のお給料ではとてもチョイスできないようなお店。

門をくぐるのをとまどっていると、櫻井課長が

「どした？」

って聞くから

「あはっ。あまりの高級感にビビってました。」

正直に伝えた。

櫻井課長は、眉を下げてクスッと笑って

「ま、確かにビビるよな、この店構えは(笑)」
「今日は仲間内だし、その緊張感は接待まで取っておけばいいから(笑)じゃ、行こうか。」

って、私の手をひき

打ち水された石畳をゆっくり歩きはじめた。

あまりにもさりげなく

あまりにも唐突に手をひかれたから

なにこれっっ!!？

手のひらに毒針とかしこんでいて
私を殺す気ですかっっ!!？

って、心の中でひとりボケしてなきゃ
心臓止まってしまいそう。

門からお店の入口の扉まで、そんなに距離が無いのに、全力で走ったくらいの心臓の動き。

「ん？A顔が赤い(笑)」

「そ、そんなことないです。」

必死で答えたら

櫻井課長は、片方だけ口角あげて笑って

「はーん、これかー？」

って、繋いだ手を挙げた。

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