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それからみんな翔さんとは連絡が取れなかった。
唯一、会社を託された相葉さんに社長辞任の郵便物が届いた。
消印は都内。
姿を消す決心をした時点で準備していたんだろう。
慰謝料のつもりなのか、会社は成宮さんに譲るって、書類一式揃ってたって。
ほんとに翔さんらしい準備万端。
俺はとうとうメジャーデビューすることになって、その準備に追われた。
潤くんは照明と音響の自分の会社を立ち上げて、忙しくしている。
大野さんは個展が国内あちこちで開催されて、大人の付き合いが大変そうだ。
Aは。
大野さんの所から自立して、小さなアクセサリーショップを始めた。
大野さんの提案で本名は伏せて、ほんとに小さな店で。
さすがにそれだけじゃ食ってけないし、借金も返さなきゃなんないしってことで
俺のバンドのツアースタッフとして地方に帯同してもらったり、潤くんの会社の電話番したり、大野さんの個展の受け付けしたり
すっげー忙しくしてる。
そんな状態だから、開いてるときが幻？ってウワサされるようになったアクセサリーショップがクチコミやSNSで話題になりはじめて
全部ハンドメイドだから、なかなかの予約待ちになってるらしくて、A曰く「貧乏暇なし」って。
笑ってる。
よかった。
翔さんとは連絡がとれなくても、決められてしまった結婚を良しとしなかった事がやっぱり嬉しいみたいで。
だからといって、すぐにAに連絡してこないのがほんと翔さんらしくて。
きっと自分なりにケジメつけてるだろうなって思って待ってる。
ま、俺としては、
翔さんの今までの女性関係の酷さを思えば、アタマ丸めて滝にでも打たれて、身を清めてからAの前に現れろって思うんだけど(笑)
坊主頭の翔さん、結構可愛いかも(笑)
今日も俺達のバンドの世話を笑顔でやってくれるAは、スタッフ達からもかなりの人気で。
でもみんな、俺の彼女かなー？って思ってるみたいだから黙ってる。
虫除けにはそれでいいでしょ。
翔さんが迎えにこなかったらホントにそうなってもいいし。
なんて、ね。
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作者名：ハルヒ
| 作成日時：2018年10月11日 0時
