97 ページ15
・
言葉じゃニノには適わないのは子供の頃からだけど、
「ごめん。今はやっぱ言えない。帰ったら話すから。」
「...わかった。じゃ、一緒に行く。」
「なんでだよ！」
「Aの事を心配してるのはあなただけじゃないんだよ。」
「それに。」
「なに？」
「あなた、Aの事好きでしょ。」
「な、なんでだよっ！」
「最初に翔さんが気になってる女の子を教えてくれた時、あん時から俺は気がついてましたけど。」
ニノは驚くことを言ったけど
思えばそうだよ。
翔ちゃんがAを見つけた時から、俺も見てたんだ。
ただ、翔ちゃんが好きな子だから気になっていただけだと思ってたけど
違う。
最初から。
「A見つけたの？会いに行くんでしょ？」
「ニノが言うような気持ちはAには無いけどね。」
って、バレバレかもしれない嘘つきながら、パリで出会った話をした。
もちろん、毎晩抱きしめて眠った話は内緒だけど。
「で、連絡がつかないから会いに行くってこと？」
「うん。ちょうど京都にスケッチ行こうと思ってたから、ついでにね。」
「どっちがついでなんだか。」
「翔さんには言わないでおいてあげるよ。」
そう言ってニノは帰った。
聞いてた住所を頼りに行ってみたら、そのお屋敷はすぐに見つかったけど。
売却先を探す不動産屋の看板が出ていて
近所の人に聞いてみたら
お屋敷に住んでいたお婆さんが施設に入って、誰も住む人がいなくなったらしい。
じゃAは？
パリまで飛んでって探そうかとも思ったけどやめた。
望んでいなかったんだ、よな。
俺は彼女に会いに行くべきじゃなかった？
救いたいと思っていたのに
救われたいのは俺だったんだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1016人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハルヒ
| 作成日時：2018年2月17日 19時
