292・忍び寄る嵐 ページ42
結局その日
社長には会えず
俺達は 途方に暮れながら帰宅した。
デビュー？俺が？……嘘だろ……。
何かの間違いであってほしい。
……A
……Aの声が 聞きたい。
すぐに携帯を取り出したが……
ダメだ。
こんな混乱したまま……
落ち着け！俺……。
ムリだ……
こんな……こんな状態で……ムリ。
……A……A A……
涙が次々溢れ出し 前が霞む中……
Aに告白した時の塀が
ぼんやり目に入る。
……あの日のように
電柱と塀で隠れるように
しゃがみこんだ。
やっと……やっと荒波の航海を終え
愛しい人の待つ地で 希望に満ち溢れ
穏やかな幸せが手に入ると
信じていた時に
突然 嵐が襲いかかり
もう二度と帰れないと悟り
孤独と絶望の中
海の底に沈んで行く気分だ。
俺の暗黒の雲で包まれた心が
呼び寄せたのか
突然 強風とどしゃ降りの雨の中
稲光が走り出す。
……ホッとした。
これなら涙を見られることはない。
空を仰ぎ雨風を全身に浴びる。
……どうかこの激しい雨風よ
俺に忍び寄ろうとしている
嵐を追い払ってくれ……。
頼む！
やっと手に入れた宝物を
穏やかな未来を奪わないでくれ……。
就寝前……
今日は一度も翔君から連絡がない。
いつも仕事帰りの駅前から
ラブコールしてくれるのに……。
不安がみぞおちをギュッと締め付ける。
何度コールしても呼び出し音だけ……。
もう家にかけるのも失礼ね。
……明日朝一にかけてみよう。
……今日も直兄遅いのかな。
直兄とも連絡取れない。
デビューの件 思い切って
聞きたいのに……。
……諦めてベッドに横になる。
直「ただ今……」
A母「お帰り。最近遅いわね」
直「……すぐシャワーして寝るよ」
部屋のドア開ける前に
振り返りAの部屋を見る。
……ごめんね A……。
やり切れない思いでドアを開け
電気を付けて立ち尽くす……。
A「お帰り。……最近遅いね。
……色々忙しいの？」
こんな深夜に
俺のベッドに腰掛けて待つなんて……
ついに来たか……。
緊張で口の中がカラカラになる。
直「……」
A「……」
……もう逃げてもムダだね……。
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りん(プロフ) - かおるんさん» いつもありがとうございます★私自身も早く甘いふたりを書きたかったです＊ (2014年1月14日 21時) (
レス) id: dad6bd0f93 (このIDを非表示/違反報告)
かおるん(プロフ) - めちゃ嬉しいです。ふたりに戻れてよかった。更新楽しみにしてます。 (2014年1月12日 17時) (レス) id: eeafce828e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りん
| 作成日時：2013年10月24日 21時
