鍵 ページ15
「ふざけんなよ！！
ホントに一銭も出さなかったじゃねーか！！」
『えぇ？だって買ってくれるって…笑』
二人で騒ぎながらエレベーターを降りる。
ブツブツ言うニノに、
『ココが朝倉さんちだよ〜』
って紹介したら
「知ってるわ」
って言われた…
ですよね…
『ピンポンする？』
なんて言いながら通り過ぎる…
と、中からガタンって大きな音がした。
「え？Aの部屋？」
『…から聞こえた気がした…』
「電話してみる！！」
『いや、ピンポンのが早いだろ。
落ち着けよ…』
あまりに取り乱すニノを見て、
逆にオレは落ち着けた…
というより、そんなに大変なこと？
って呆気にとられた…
ピンポンしても、電話にも出ないって言うから
『鍵、開けてみようか？
変わってなければ、コレで開くと思うんだけど。
あ、開いた。』
「サンキュ」
と短く言うと、風のように入って行った。
ちょっと覗くと、
Aが青い顔して、廊下に倒れてた。
ニノが抱き起こして名前を呼ぶ。
気付いたAは、ニノだとわかると
「ニノっ…」
って、抱き付いて、泣いてる…
なんだよ…
どういうこと？
すると、
「松本さんが…」
って言うA。
えぇえ？！オレーーー？！
何もしてないだろ！！
ニノがスゴイ顔して見てくるから
何にもしてないよ！って訴えた。
「アイツがどうかしたの？」
「わかんない…
わかんないけど、声がして…」
「…声？」
「うんっ、誰かと一緒なんだって思ったら
頭が痛くなって…」
ニノから、力が抜けたのがわかった。
今までとは違う色を灯した眼で、
オレのことを見つめる。
何か言いたいのかな…
オレのせいで倒れたのか？
でも、Aが抱き付いてるのはお前じゃないか。
Aが頼ってるのはお前だろ。
覚えてるのはニノのことだけだ。
オレのことは、考えただけで頭痛がするって。
Aがニノにすがるように抱き付いてるのを
ただ、じっと見てた。
・
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作者名：2530 | 作成日時：2016年9月25日 14時
