夜の果て(all J side) (ページ2)

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雨ページ2

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えーーー…

朝の天気予報では

「傘の心配はなさそうです」

って言ってたじゃん。

駅まで走るか…

ふと隣を見ると、

Aだ…

しかも、傘持ってる…

『傘…持ってきたの？』

思わず、そう声をかけると

自分に話し掛けられたんじゃないと思ったのか、

周りをキョロキョロと見回してる。

その姿が、小動物みたいに可愛くて。

思わず笑いながら、

『朝倉さんに言ってるんだよ？』

って言ったら、

すごく戸惑った顔をされた。

ホントにオレのこと忘れてんだな…

「…ごめんなさい。

　あの、傘が必要でしたら、コレどうぞ。」

って、自分が開いた傘を渡された。

その言葉遣いに…

その戸惑った色を灯した目に…

その他人行儀な差し出し方に…

Aのそのすべてに、

オレの胸が、ギューーーって痛くなった。

でも多分、これを逃したら

またしばらく話せない。

『え？朝倉さんはどうするの？』

精一杯、声が震えないように話した。

「あたしは、ロッカーにもうひとつあるので」

『ふぅん、心配症なの？』

「…えぇ、まぁ…」

歯切れが悪いな。

それに、すんごいオレのこと、警戒してる。

さすがにそこまで避けられたらヘコむわ…

しかも、

「コレ、返してくださらなくて結構ですから、

　使ってください」

って、半ば無理矢理、傘を渡されて、

オレともう関わりたくないっていう空気。

ペコッと頭を下げたAは、

ビルの中に戻って行った…

出口はココしかないから、

ココで待ってれば、また会える。

オレと会わないように

時間を潰してくるんだろう？

Aの考えることなんて、お見通しだよ…

せっかく会えたんだから、

チャンスを逃す訳には行かない。

ヘコむことしか言ってくれないかもしれないけど、

傷付くだけかもしれないけど、

それでもAと話したかった。

ほら、出て来た。

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